阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 11.10

人間関係を良好にするコツ⑧~批判と決別する~

批判するのではなく,模範になる。他者の弱点や欠点を批判的な目で見るのをやめ,慈しみ深い目で見る。問題はその人の弱点や欠点ではなく,それに対してあなた自身がどんな反応を選択し,何をすべきかである。
スティーブン・R・コヴィー

何かにつけて他者の行動を批判したり,文句を言う(陰口を言う)人って,世の中に結構いますよね。

※ここでいう「批判」は,『人の言動・仕事などの誤りや欠点を指摘し,正すべきであるとして論じること』という意味で用いられる場合を前提としています。

誰かが何か失敗したら,「~~だからあいつはダメなんだ。」,「あいつはいつまでたってもできやしない」みたいな感じで批判する。

逆に,誰かが成功したら,「~~みたいなやり方は非常識だ。」とか,「たまたまうまくいっただけだ。」とか批判する。

かく言う私も,批判は日常茶飯事でした。

私は元々「理」という言葉が好きな人間で,合理的な考え方,論理的な考え方,理性的な態度といったものに大きな価値を感じる人間です。

そして,以前の私は,単に自分が「理」に価値を感じるというのみならず,こういった「理」の通った概念は誰しもにとって価値を持つと思ってしまっており,他者の行動が「理」に反するという印象を持った場合に,「~~は合理的ではない(からダメだ)。」とか,「~~は理性的ではない(からダメだ)。」というような批判をしょっちゅう口にしていました。

しかし,「7つの習慣」と出会ってから,他者の行動に対する批判は,原則として,自分にとっても他者にとっても何のプラスにもならず,むしろ他者との人間関係を破壊するマイナス要素でしかないということに気づくことができました。

今にして思えば,「~~は合理的ではない(からダメだ)。」なんてよく偉そうに言えたもんだよな~という感じで,自分がいかに未熟だったかを痛感します。

何が合理的かとか,何が論理的かとか,何が理性的かなんてことは,状況や立場や役割に応じて変わるものですし,人それぞれの哲学や価値観によっても異なるものです。

それなのに,勝手に他者の行動を自分の価値観で判断して「合理的ではない」などと批判したところで,ただ批判した相手との人間関係が破壊されるだけで,何らの価値も生まれませんよね。

さて,ここまでをお読みいただいた方の中には,「そうはいっても,例えばスポーツにおいて,指導者が,チームや個々の選手の勝利という目標を達成する上で効果的ではないプレーを批判し,改善を促すことは重要なことではないか!?時と場合によって批判は大事ではないのか!?」などと思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

そうですね。確かにその通りだと思います。

だからこそ,私も,「原則として」自分にとっても他人にとってもプラスにならない,という言い方をさせていただきました。

というのも,本人が自らの行動について批判を受けることを望んでいるのであれば,それは本人に対する貢献ですので,人間関係を破壊するNG行動ということにはなりません。

スポーツにおける指導者の指摘や指導の中でなされる批判は,まさに,試合に勝つため,もっと技術を向上するためといった理由で,本人が自分のプレーについて指導者から批判を受けることを望んでいるといえる好事例でしょう。

ですが,世の中の多くの場面では,そのように本人が望んでいるわけでもないのに,批判が飛び交う場面が無数に存在しています。これがNG行動なわけです。

間違いなく,本人が望んで批判を受けているケースよりも圧倒的に多いでしょう。

昨日のブログでご紹介したIメッセージとYOUメッセージの違いとも類似する話ですが,他者の行動に対する批判という行為は,基本的に相手の行動に焦点を当てており,何ら自分の行動変革,行動改善に結びつくものではありません(自己批判は別ですが。それについてはまた後日改めてお話ししたいと思います。)。

う~ん,意味ないですね~。というか,無価値ですね~。

批判ばかりしている人は,他人のことしか見ておらず,自分のことが見えていません。

しかし,他人の行動は『自分ではコントロールできない領域』にある事象ですから,いくらここに注力しても,何ら生産的ではありません。

これに対して,他人の言動は単なる事象として受け流し,常に自らの(行動)選択に注力している主体的な人は,極めて生産的です。

常に自分の目的・目標の達成に向けて効果的な行動は何かと考え,それを実行するというサイクルを回しているので,日々目的・目標の達成へと近づいていきます。

また,求められてもいないのに他人の行動をとやかく言わないので,必然的に他者との人間関係が良好になっていきます。

ということで,主体的であることは,自分にとっても周りにとっても良いことづくめなわけですね。

他者の批判ばかりして,一向に自分の目的・目標の達成に近づいていかない人生と,常に自分自身の目的・目標の達成に近づいていく選択を選び続ける人生,どちらがその人にとって幸せな道のりか,言うまでもないですよね。

ついつい他者の批判を口に出してしまうという方は,ぜひ,本投稿をご覧いただいたことを機に,主体的で幸せに満ちた人生を選んでください。

また,『自分は気を付けているけど,周りにそういう人がいて,どうしたらよいかわからず困っている』という方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時は,批判を口にしている人の話を聞いたうえで,「それで,あなたはどうするの?」とか,「じゃあ,どうしたらもっと良くなると思う?」と聞いてみてください。

間違っても,「他人の批判を言うなんてダメだ!」という「批判」をしないでくださいね(笑)。

それと,「あなたはどうするの?」とか,「どうしたらもっと良くなると思う?」等と質問した時に,まともな答えがズバッと返ってこなくてもがっかりしないでくださいね!

そこでズバッと答えられるような人は,最初から批判ばかりを口にして何もしないというような選択はとりませんので,おそらくほとんどの場合はまともな答えは返ってきません。

でも,それでいいのです。

大事なことは,『問題を解決したり目標を達成するために自分がすべきことは何なのかを考える』という行動選択を促して,だんだんとその癖をつけてもらうことです。その瞬間にベストな答えが返ってくるかどうかというのは核心ではありません。

要は,習慣化されるように導いていくということです。

ある程度時間はかかりますが,人間関係の改善や,会社の雰囲気がよくなるなどの,目に見えての成果は必ず出てきます!

ぜひ試してみてくださいね!