阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2023 05.12

遺言書を書いてもらいにくい時の対処法


私は、相続に関わる紛争解決の仕事の経験と知識を活かし、


相続分野での「Win-Win」を創造するべく、


事前対策の方に力を入れています。


そのため、しばしば相続発生前の段階で、


お子さん世代の方からこんなご相談を受けることがあります。


『父(母)に遺言書を書いてもらいたいのですが、


どのように話をもちかけたら良いかわからず困っています』


確かに、遺言書というのは、書く人にとっては「死後」の遺産相続


に関しての取決めを書くものですから、将来の死亡を強く意識させる


ことは避けられず、お子さん世代からはもちかけにくい話題ですよね。


こういう場合に、私がおすすめしているお話の持ちかけ方が2つあります。


1つは、「民事信託(家族信託)」という制度を利用することを前提に、


死後の話ではなく、生前の財産管理の心配事等についてお話をもちかける


ことをきっかけとして、その延長線上で、死後の財産承継についても


話題にする、という方法です。


死後のことだけを考える遺言書に比べ、生前の財産管理のことについては、


「もし病気でなかなか動けなくなってしまったら・・・」


というように、差し迫って起こりうる問題として、親御さん世代にも


お話を持ち掛けやすいのではないかと思います。


 


もう1つは、家系図作成サービス等を利用して、家系図をプレゼントし、


家系図を一緒に眺める中で、曾祖父母やその上の先祖などからの系譜を


たどり、自然と、現在の親世代の方からお子さん世代の方への継承、


という話題が出やすい流れを作る、というやり方です。


家系図作成については、札幌市内でも以下のようなサービスが


あります。


「ウチレキ」 https://www.uchireki.com/


 


信託という制度は、生前の財産管理のことについて、


例えば親御さん世代がかなり高齢になってきて、


認知症その他の病気等により、ご自身で不動産等を管理したり、


処分したりすることが難しくなったら心配・・・


というような課題の解決に非常に役立つ便利な制度です。


しかも、生前の財産管理のことだけでなく、死後の財産承継のことについても、


実質的に遺言書と同様の機能をもたせ、かつ、ご本人の財産を承継した


配偶者やお子さんの死亡後の承継ルールも取り決められるなど、


遺言書よりも柔軟な取決めを設定することができます。


気になる方はぜひご相談くださいね!


 


弁護士 阿部 竜司