阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2020 05.08


現在私たちは,新型コロナウイルスによる未曽有の経済危機状況
に直面しております。


企業支援のお仕事を主たる分野として扱っている私のところにも,必然
的に,コロナウイルスの影響に伴うご相談事や,様々な情報が入ってき
ております。


本日は,そのような経験や情報を通じて,私が気づいた,『危機的状況
でもたくましく生き残っていける会社』の代表的な3つの特徴をお伝え
したいと思います。



① 主体的である(他力本願ではない)


これは間違いなく共通している要素です。
コロナウイルスの感染状況や,これを踏まえた政府・自治体の様々な施
策等は,『自力ではコントロールできない』領域にある事柄です。


生き残る会社は,このような『自力ではコントロールできない領域』に
は一切フォーカスせず,『今自分たちができること』に集中する特徴が
あります。これが「主体性」であり,このような主体性をもって問題に
向き合っていく姿勢が,「主体的」と表現されます。


私自身,自分が体得している「7つの習慣」の第1の習慣として,「主
体的である」という姿勢が取り上げられていることもあり,常日頃,企
業経営において(のみならず個人の人生の舵取りにおいても)「主体
性」が極めて重要な成功要因であるとお伝えしている立場ですので,
改めて,普遍かつ不変の法則の強さを実感するところです。



② 常に早めにリスク対策を講じている


例えば,ある優良企業のお客様は,現時点で売上げは多少の落ち込みは
あるものの,損益分岐点を下回るほどの状況ではなく,かつ,キャッ
シュについてもある程度は保有している状況でありながら,事態の長期
化に備えて,早めに融資の申請を行い,キャッシュの増強を図ってい
らっしゃいました。


このように,自分の置かれている状況を楽観視せず,また,将来どのよ
うなリスクが起きうるかということをきちんと想定して,早めに対策を
講じている企業は,実際に問題に直面した際にも,『想定どおり』とい
うことで,資源の面でも精神的な面でも余裕をもって問題解決にあたっ
ていくことができます。


外食産業や宿泊業等,最も大きな打撃を被っている企業の方々は,緊急
レベルが非常に高いので,今目の前にある危難をなんとか乗り切ること
に集中していただかざるを得ないと思います。


他方で,現状,多少の影響は受けつつも,事業を維持できないというレ
ベルまでには至っていないという企業の方々は,経済危機の長期化や,
近い将来迎えることになるであろう「アフターコロナ」の状況下で,自
社の事業はどのような影響を受け得るのか,といったことを考え,それ
に備えておくことをぜひ考えてみてください。


(そのような「戦略的なリスク対策思考」は,結果として,新たなビジ
ネスアイデアの発見や,企業体力の強化といった,会社の直接的成長に
もつながります)



③ Win-Win思考である


例えば,この非常事態の中で,マスクの転売により「自分だけが儲かれ
ばいい」という思考で市場のマスクを大量に買い込み,これを転売しよ
うとした方々は,結果として,法規制によりマスクの高額転売が不可と
なり,大量の在庫を抱えるという事態に陥りました。


また,労働組合や社員と十分な協議をせず,「コロナだから仕方ない」
という思考のもとに,早々に数百人規模の整理解雇を行ったあるタク
シー会社は,結果としてそのうちの数十人から,解雇の無効を求める法
的手続を申請され,結局,解雇の撤回相談に応じるという姿勢に転じる
という事態に陥っています。


このように,『自分だけが良ければいい』という思考で動いている事業
者は,遅かれ早かれ,長期的・持続的な繁栄からは遠のく結果となりま
す。これは何も現在のような危機的状況下に限った話ではありません
が,現在のような状況下では,マイナスの結果が生じるのも早いです
ね。


他方,顧客との取引関係にしろ,社内の雇用関係にしろ,相手との
「Win-Win」を基本思考としている会社は,このような非常事態
において,多くの方が「味方」になってくれます。


そのような企業は,例えばクラウドファンディングで多くの支援を集め
ることに成功し,当面の資金を確保することができたり,あるいは,急
に店舗対面販売からネット販売に切り替えても,応援してくれるお客様
がすぐにネット注文してくれるようになって事業を継続できたり,とい
うように,まさにたくさんの方が味方として支えてくれることで,生き
残っていけるわけです。



以上,本日は,コロナウイルスによる未曽有の経済危機の中でも生き
残っていける会社の代表的な3つの特徴をお伝えしました。


誰にとっても本当に辛く苦しい状況ではありますが,それを嘆くだけで
終わるのか,それともこの機会を活かして主体的に成長するのかは,そ
の人(あるいは企業)次第です。


ぜひ,本メルマガをお読みくださっている皆様は,主体的に動いてくだ
さいね!


 


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