2017 04.07
前回の投稿にて,「攻撃してくる人=困っている人」というお話をしました。
簡単におさらいしますと,自分に対して何かしら攻撃をしてくる人は,何らかの脅威を感じて困っている状況にあるため,その脅威を脱するための防衛手段として他者に対する攻撃をしているのだ,というお話です。
前回は,そのような「攻撃してくる人=困っている人」であるという原則を知るだけでも,攻撃された時に感じるストレスを軽減することができますよ,とお伝えしました。
しかし,そうはいっても,攻撃されることそのものがストレスなわけですから,理想を言えば,そもそも他者から攻撃されないのが一番ですよね。
そこで,今回は,他者から攻撃されないためのコミュニケーション方法についてお話ししていきたいと思います。
前回ご紹介した「身近な人の『攻撃』がスーッとなくなる本」の115頁以下で,著者である水島広子先生は,「攻撃」されないコミュニケーション方法として,「話し方の4つのルール」を提唱しています。
ルール① 決めつけない
ルール② 相手の事情を聴く
ルール③ 「私」を主語にする
ルール④ 要求ではなく,依頼をする
上記の各ルールは,いずれも,「相手に脅威を与えがちな場面において,脅威を与えないために守るべきルール」ということができます。
というのも,こちらからのコミュニケーションが相手にとって脅威になってしまったら,脅威を感じた相手は,自己防衛本能が働いてこちらに「攻撃」をしかけてくる可能性が高まってしまうからです。
以下,各ルールについて具体的に考えていきましょう。
【ルール① 決めつけない】
あなたが実際に見聞きした客観的事実だけを相手に伝え,その事実からあなたが考えた解釈や評価は伝えないようにするということです。
なぜなら,あなたが見聞きした事実からあなたが推測したことや,解釈したことは,必ずしも真実とは限らないからです(というか,私の個人的な意見としては,真実でないこともかなり多いと思っています。)。
例えば,幼い子供を持つ家庭において,夫が仕事で夜遅く家に帰ったら,部屋が子供のおもちゃ等でちらかっていたとします。
この時,夫が認識した客観的事実は,「部屋に子供のおもちゃが散乱している」ということだけですね。
ルール①を守れない人は,このような場面で,「部屋に子供のおもちゃが散乱している=妻がきちんと片づけをせずにサボっている」等と決めつけることがあります。
そして,翌朝こんな風に妻に言うわけです。
「寝る前にはちゃんと部屋を片付けておけよ!」
アウトーー!!!
て感じですね(^_^;)
こんな風に言われたら,ほぼ間違いなく妻は脅威を感じますよね。
口達者な女性なら,その場で言い返して口論になるというパターンになる可能性が高いですし,言葉で対抗するのが苦手な方なら,不満ゲージを蓄積させて,いずれゲージが満タンになった時に,ある日突然夫に対して,「実家に帰らせていただきます。」という置手紙を残して家を出るような可能性が高いでしょう。
その他にも,人はつい,見聞きしている事実からは必ずしも確定できないことを自分の解釈で決めつけて,その決めつけに基づいて他者に対する非難や要求をしたりすることがあります。
これは間違いなく相手に対する脅威となりますので,攻撃を誘発してしまいますね。
職場における例でも考えてみましょう。
上司(課長)の指示に従ってやったことがマイナスな結果につながってしまった時に,「君がもっと早く私に報告しないから・・・」等と言って,課長が部下であるあなたの責任であるかのように言ってきたとします。
そんな時は,より上の上司(例えば社長)に対して,「課長の指示に従ってやったことなのに,私のせいにされました。」というような話をついしたくなってしまいますよね。
しかし,そこでも「問題の責任を私のせいにされた」という言い方にはあなたの評価や解釈が入ってしまっていますので,同一の事実を基にした話ができなくなってしまいます。
それは課長にとっても脅威になりますし,社長にとっても,どんな事実からそういう話になるのかわからず,困ってしまうという意味でやはり脅威になります。
そうではなく,「課長の指示どおりに対処しましたが,●●という結果になったことをお伝えしたところ,課長は,『君がもっと早く私に報告しないから・・・』とおっしゃいました。」というように,実際に起こった事実だけを伝えるようにするのです。
これだと,感情的になって課長を非難しているという受け止められ方はされにくいですよね。実際にあったことを話しているだけですから。
このように,事実だけを話すようにするということがキーポイントです。
【ルール② 相手の事情を聴く】
ルール①とルール②は連動していると考えてよいと思います。
決めつけをせずに,客観的に見聞きした事実について相手の事情を聴くことで,相手はこちらに対して脅威を感じることなく,むしろ信頼感を持ってくれるようになります。
上記の家庭の例でいえば,夫から妻に対して,翌朝「ちゃんと片付けておけよ!」などと言うのではなく,「昨夜は大変だったの?」等と,妻の事情を聴くことが肝要なのです。
これによって,相手から攻撃を受けるリスクは大幅に減りますし,信頼度も上昇する上に,自分が知らなかった新たな情報を得ることもできるので,一石三鳥です。
【ルール③ 「私」を主語にする】
以前,私は「人間関係を良好にするコツ⑦~Ⅰ(アイ)メッセージをフル活用しよう~」というタイトルで同趣旨のことを書きました。
詳細はリンク先の記事をご覧いただければと思いますが,要は,
「(あなたは)ひどい!!」
とか,
「あなたは私を傷つけた!」
という,相手に対する評価を述べるのではなく,
「私はあなたの~~という行動(発言)が怖い。」
とか,
「あなたの~~という言葉で私は傷ついた。」
というように,「私は」で始まる形で相手に自分の気持ちに関するメッセージを発することが大事ということです。
「私は~~」というメッセージは,相手の行動について良いも悪いもなく,自分が相手の言葉をどう感じたかという話なので,相手は脅威を感じにくいからです。
このような「私は」を主語にするメッセージを「I(アイ)メッセージ」と呼ぶのですが,Iメッセージは本当に効果的です。
私は,以前,『彼氏と別れたいのだけれど,「別れたら俺はお前に何をするかわからない。」とか,「別れたら俺はお前を●●(住んでいた地域)にいられなくしてやる」とか,そのような非常に恐怖を感じることを言われており,どうしたらよいかわからないという状況で数か月間悩んでいる』という女性からご相談を受けたことがあります。
その女性に対して,私は,『彼氏に対して,決して彼の態度や発言を非難したり否定したりせず,徹底的にIメッセージであなたが恐怖を感じていることや困っていることを伝えるようにしてみてください』というアドバイスをしました。
約一週間後に,その女性から改めてご連絡があり,私のアドバイスにより,無事に彼と平和にお別れすることができましたというご報告を頂きました。
私はちょっとした方法論をお伝えしただけであり,実際にそれを実践された彼女が素晴らしいのですが,私としてもお役に立ててとても嬉しかったです。
まさに,Iメッセージを活用して攻撃を防ぎ,問題を解決した好例と言えるのではないかと思います。
【ルール④ 要求ではなく,依頼をする】
これはごくごくシンプルなお話だと思います。
ここでいう「要求」というのは,「命令」に近いものだと思ってください。
言葉でいうと,「~~するのが当然だ」というようなイメージです。
これに対して,依頼は,「~~してもらえないだろうか?」とか,「~~してもらえるとありがたい」というようなイメージです。
後者は,「~~してもらえると(私は)ありがたい」というIメッセージ(=ルール③)にもなっていますね。
皆さんだったら,どちらの言われ方の方が脅威を感じますか?
間違いなく前者ですよね。
そういうことです。
以上,「攻撃」されないコミュニケーション方法についてご紹介させていただきました。
もちろん,こちらがいくらコミュニケーション方法を気を付けても一方的に攻撃をしかけてくる人はいますが,そういう時に攻撃をかわすためのノウハウや考え方,あるいは,攻撃されにくい人(=周りから大切にされる人)に共通する要素等も,水島先生は上記著書の中でご紹介してくださっています。
他者からの攻撃を受ける機会が多いと感じる方,今現在日常的に攻撃を受けていて悩んでいる方は,ぜひご一読されることをおすすめします(^^)
簡単におさらいしますと,自分に対して何かしら攻撃をしてくる人は,何らかの脅威を感じて困っている状況にあるため,その脅威を脱するための防衛手段として他者に対する攻撃をしているのだ,というお話です。
前回は,そのような「攻撃してくる人=困っている人」であるという原則を知るだけでも,攻撃された時に感じるストレスを軽減することができますよ,とお伝えしました。
しかし,そうはいっても,攻撃されることそのものがストレスなわけですから,理想を言えば,そもそも他者から攻撃されないのが一番ですよね。
そこで,今回は,他者から攻撃されないためのコミュニケーション方法についてお話ししていきたいと思います。
前回ご紹介した「身近な人の『攻撃』がスーッとなくなる本」の115頁以下で,著者である水島広子先生は,「攻撃」されないコミュニケーション方法として,「話し方の4つのルール」を提唱しています。
ルール① 決めつけない
ルール② 相手の事情を聴く
ルール③ 「私」を主語にする
ルール④ 要求ではなく,依頼をする
上記の各ルールは,いずれも,「相手に脅威を与えがちな場面において,脅威を与えないために守るべきルール」ということができます。
というのも,こちらからのコミュニケーションが相手にとって脅威になってしまったら,脅威を感じた相手は,自己防衛本能が働いてこちらに「攻撃」をしかけてくる可能性が高まってしまうからです。
以下,各ルールについて具体的に考えていきましょう。
【ルール① 決めつけない】
あなたが実際に見聞きした客観的事実だけを相手に伝え,その事実からあなたが考えた解釈や評価は伝えないようにするということです。
なぜなら,あなたが見聞きした事実からあなたが推測したことや,解釈したことは,必ずしも真実とは限らないからです(というか,私の個人的な意見としては,真実でないこともかなり多いと思っています。)。
例えば,幼い子供を持つ家庭において,夫が仕事で夜遅く家に帰ったら,部屋が子供のおもちゃ等でちらかっていたとします。
この時,夫が認識した客観的事実は,「部屋に子供のおもちゃが散乱している」ということだけですね。
ルール①を守れない人は,このような場面で,「部屋に子供のおもちゃが散乱している=妻がきちんと片づけをせずにサボっている」等と決めつけることがあります。
そして,翌朝こんな風に妻に言うわけです。
「寝る前にはちゃんと部屋を片付けておけよ!」
アウトーー!!!
て感じですね(^_^;)
こんな風に言われたら,ほぼ間違いなく妻は脅威を感じますよね。
口達者な女性なら,その場で言い返して口論になるというパターンになる可能性が高いですし,言葉で対抗するのが苦手な方なら,不満ゲージを蓄積させて,いずれゲージが満タンになった時に,ある日突然夫に対して,「実家に帰らせていただきます。」という置手紙を残して家を出るような可能性が高いでしょう。
その他にも,人はつい,見聞きしている事実からは必ずしも確定できないことを自分の解釈で決めつけて,その決めつけに基づいて他者に対する非難や要求をしたりすることがあります。
これは間違いなく相手に対する脅威となりますので,攻撃を誘発してしまいますね。
職場における例でも考えてみましょう。
上司(課長)の指示に従ってやったことがマイナスな結果につながってしまった時に,「君がもっと早く私に報告しないから・・・」等と言って,課長が部下であるあなたの責任であるかのように言ってきたとします。
そんな時は,より上の上司(例えば社長)に対して,「課長の指示に従ってやったことなのに,私のせいにされました。」というような話をついしたくなってしまいますよね。
しかし,そこでも「問題の責任を私のせいにされた」という言い方にはあなたの評価や解釈が入ってしまっていますので,同一の事実を基にした話ができなくなってしまいます。
それは課長にとっても脅威になりますし,社長にとっても,どんな事実からそういう話になるのかわからず,困ってしまうという意味でやはり脅威になります。
そうではなく,「課長の指示どおりに対処しましたが,●●という結果になったことをお伝えしたところ,課長は,『君がもっと早く私に報告しないから・・・』とおっしゃいました。」というように,実際に起こった事実だけを伝えるようにするのです。
これだと,感情的になって課長を非難しているという受け止められ方はされにくいですよね。実際にあったことを話しているだけですから。
このように,事実だけを話すようにするということがキーポイントです。
【ルール② 相手の事情を聴く】
ルール①とルール②は連動していると考えてよいと思います。
決めつけをせずに,客観的に見聞きした事実について相手の事情を聴くことで,相手はこちらに対して脅威を感じることなく,むしろ信頼感を持ってくれるようになります。
上記の家庭の例でいえば,夫から妻に対して,翌朝「ちゃんと片付けておけよ!」などと言うのではなく,「昨夜は大変だったの?」等と,妻の事情を聴くことが肝要なのです。
これによって,相手から攻撃を受けるリスクは大幅に減りますし,信頼度も上昇する上に,自分が知らなかった新たな情報を得ることもできるので,一石三鳥です。
【ルール③ 「私」を主語にする】
以前,私は「人間関係を良好にするコツ⑦~Ⅰ(アイ)メッセージをフル活用しよう~」というタイトルで同趣旨のことを書きました。
詳細はリンク先の記事をご覧いただければと思いますが,要は,
「(あなたは)ひどい!!」
とか,
「あなたは私を傷つけた!」
という,相手に対する評価を述べるのではなく,
「私はあなたの~~という行動(発言)が怖い。」
とか,
「あなたの~~という言葉で私は傷ついた。」
というように,「私は」で始まる形で相手に自分の気持ちに関するメッセージを発することが大事ということです。
「私は~~」というメッセージは,相手の行動について良いも悪いもなく,自分が相手の言葉をどう感じたかという話なので,相手は脅威を感じにくいからです。
このような「私は」を主語にするメッセージを「I(アイ)メッセージ」と呼ぶのですが,Iメッセージは本当に効果的です。
私は,以前,『彼氏と別れたいのだけれど,「別れたら俺はお前に何をするかわからない。」とか,「別れたら俺はお前を●●(住んでいた地域)にいられなくしてやる」とか,そのような非常に恐怖を感じることを言われており,どうしたらよいかわからないという状況で数か月間悩んでいる』という女性からご相談を受けたことがあります。
その女性に対して,私は,『彼氏に対して,決して彼の態度や発言を非難したり否定したりせず,徹底的にIメッセージであなたが恐怖を感じていることや困っていることを伝えるようにしてみてください』というアドバイスをしました。
約一週間後に,その女性から改めてご連絡があり,私のアドバイスにより,無事に彼と平和にお別れすることができましたというご報告を頂きました。
私はちょっとした方法論をお伝えしただけであり,実際にそれを実践された彼女が素晴らしいのですが,私としてもお役に立ててとても嬉しかったです。
まさに,Iメッセージを活用して攻撃を防ぎ,問題を解決した好例と言えるのではないかと思います。
【ルール④ 要求ではなく,依頼をする】
これはごくごくシンプルなお話だと思います。
ここでいう「要求」というのは,「命令」に近いものだと思ってください。
言葉でいうと,「~~するのが当然だ」というようなイメージです。
これに対して,依頼は,「~~してもらえないだろうか?」とか,「~~してもらえるとありがたい」というようなイメージです。
後者は,「~~してもらえると(私は)ありがたい」というIメッセージ(=ルール③)にもなっていますね。
皆さんだったら,どちらの言われ方の方が脅威を感じますか?
間違いなく前者ですよね。
そういうことです。
以上,「攻撃」されないコミュニケーション方法についてご紹介させていただきました。
もちろん,こちらがいくらコミュニケーション方法を気を付けても一方的に攻撃をしかけてくる人はいますが,そういう時に攻撃をかわすためのノウハウや考え方,あるいは,攻撃されにくい人(=周りから大切にされる人)に共通する要素等も,水島先生は上記著書の中でご紹介してくださっています。
他者からの攻撃を受ける機会が多いと感じる方,今現在日常的に攻撃を受けていて悩んでいる方は,ぜひご一読されることをおすすめします(^^)