阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2017 03.14

常に「これからどうするか」に集中する

今日は,人間関係で大きな悩みを抱えて前に進めなくなってしまう人と,そうでない人の違いについてお話ししていきたいと思います。

人間関係で大きな悩みを抱えて動けなくなってしまう人には,一定の共通点があります。

それは,自分の悩みを他者に話すときに,「悪いあの人」か,「かわいそうな私」の話に終始するということです。

「悪いあの人」というのは,自分の悩みの種になっている人物のことですね。

よくあるのは上司や先輩でしょうが,親や配偶者という方も少なくはないと思います。

いずれにしても,今現在頭痛の種になっている,(自分にとって)困った人ということになりますね。

「かわいそうな私」は,「悪いあの人」に傷つけられている“被害者”としての自分自身ということになります。

(自分にとって)困った人から何らかの被害を受けてダメージを負っており,かわいそうな状態に陥っている私,ということですね。


例えば,ある会社において,何かとうるさく文句ばかりつけてくる嫌な上司Bさんに悩まされているAさんという方がいたとします。

Aさんは,友達と飲み会をしながら,職場でのストレスについてこんな風に話をしました。

Aさん:「ほんとB課長ありえないわ~。いちいち文句つけなくたって,普通に指示されればやることはやるっつーの。」

友人:「へ~,そんな嫌な上司なんだ。」

Aさん:「そうなんだよ~。しかも,俺ばっかり集中的に文句つけてくるんだよな~。ほんと,B課長に何か言われるたびにモチベーションまじ下がるわ。」

友人:「うわ~,そんな上司の下で働くのは無理だわ~。」

Aさん:「だよな~。ほんと,自分でもよく我慢してると思うよ。でも,簡単に辞められないしさ~。どうしようもないわ。」

・・・その後もB課長の悪口と,Aさん自身の苦しみについて愚痴が続く。


うんうん,日本中どこでもありふれている飲み会の風景という感じですね。

さて,既にお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが,上記のAさんのお話は,B課長という「悪いあの人」の話か,B課長に悩まされて辛い思いをしている「かわいそうな私」の話のどちらかになっていますよね。

まあ,職場で辛い思いをしているので,せめて友人との飲み会でくらいは愚痴を言ってスッキリしたいという気持ちは無理もないですが,さて,「悪いあの人」と「かわいそうな私」の話に終始していて,Aさんの悩みは解決するでしょうか。

しませんよね。

断言できますが,絶対に解決しません。

ただ,その場で友人に愚痴を聞いてもらって,少し溜飲が下がる気分になるだけで,悩みの種になっている“B課長との人間関係”という根本的な問題は何も解決していません。

もちろん,実際大した悩みではないから,別に本腰を入れて解決しなくてもよいのだ,ということであればそれでもいいのです。

でも,上記のAさんの悩みは,その程度のものとは思えませんよね。


さて,ここで今日のポイントなる重要な原則をお伝えしましょう。

それは,『「悪いあの人」と「かわいそうな私」に集中している限り,悩みの元になっている問題は永久に解決しない』という原則です。

それでは,問題を解決したいと思ったら,どんなことに思考を切り替えていく必要があるのでしょうか。

それは,「これからどうするか」に集中することです。

上記のAさんの例でいえば,「B課長に文句を言われず,伸び伸びと気分よく仕事ができる環境を手に入れるためにこれから自分はどうするか」という質問を自分に投げかけるわけです。

もちろん,同じテーマで誰かに相談してもよいでしょう。

この問いを投げかけた瞬間に,問題解決に向けた大きな一歩が踏み出されることになります。

Aさんのケースであれば,

・いつも気持ちの良い挨拶をする

・B課長が気にしそうなことを先回りして行う

・ビジネス・プライベート双方について,B課長の関心事に興味を持って,そのことについて話を聞く

・自分が成果を出して,上司であるB課長の社内での株を上げるフォローをする

・こちらから飲み会に誘って仲良くなる

・・・等々,様々な打ち手が考えられますね。

でも,これらの打ち手は,「これからどうするか」と自分に問いかけない限りは絶対に出てきません。


ちなみに,「悪いあの人」と「かわいそうな私」に集中している人の場合,例えば人から,

「その環境を改善する方法はないの?」

と聞かれても,具体的に打ち手を考えないまま

「そんなの無理無理!」

と言って,自ら解決への道を閉ざす傾向があります。

もしくは,

『なぜ被害者である自分が何かしなければならないのか。改善すべきは「悪いあの人」であって,「かわいそうな私」ではないはずだ。』

というような被害者意識を理由にして,やはり,「これからどうするか」という視点を持とうとしないことが多いです。


実は,これはそれなりに無理もないことでもあります。

というのも,「これからどうするか」は,自分がどのように努力するか,ということを考える作業です。

そのため,「これからどうするか」を考えること,そして,考えた打ち手を実行することは,結構なエネルギーを必要とします

つまり,それなりに大変な作業であり,楽ではないわけです。

これに対して,「悪いあの人」と「かわいそうな私」について家族や友人に同情してもらって気分をマイナスからゼロに戻して,現状維持で何もしないというのは,努力らしい努力を何も必要としないので,極めて楽なのです

したがって,

「悪いあの人」と「かわいそうな私」に集中し続けて,状況は改善しないが,その代わり自分の努力も必要としない現状維持を続ける

という選択をよしとするか,それとも,

現状が良くなってくれた方がより幸せに近づけるので,「これからどうするか」に集中する

という選択肢を選ぶかは,人それぞれです。

ただ,そもそも被害者意識にとらわれて「これからどうするか」を考えるという選択肢そのものに気づいていない人や,「これからどうするか」を考えて実行することで,状況を大きく改善できる余地がいくらでもあることがイメージできていない人が世の中には多くいます。私は仕事柄様々な方々のお悩みを日々お聞きしているので,そのことを経験上実感しています。

解決したいお悩みをお持ちの方は,ぜひ,「これからどうするか」ということに集中して,自分がどう行動するかを真剣に考えてみてくださいね!

それは,状況が好転する際に必ず踏まれる第一歩です!


余談ですが,私は問題解決のプロフェッショナルですから,そういった方々の思考の檻を取り払い,いくらでも幸せの実現に向けた効果的な選択肢があることをお伝えしたり,具体的な解決策を一緒に考えたり,考えた打ち手を実行する支援をさせていただくことも,自分自身に与えられた大事な使命と考えています。

何とかしたいというお悩み(=問題)を抱えている方は,メールやSNS等をご利用いただき,ぜひ一度気軽にご相談くださいね!
(※簡単なメールやメッセンジャーのやり取りだけで相談料を頂くようなことはありませんのでご安心ください(笑))

 

※本日の投稿内容は,岸見一郎・古賀史健著「幸せになる勇気」(※ベストセラー「嫌われる勇気」の続編)の第一部を参考にしております。おススメの本ですので,ぜひご一読ください!