2016 12.06
人間関係を良好にするコツ⑫~文句を言うことによる悪影響の大きさを知る~
何か自分の気に入らないことや,納得がいかない出来事があった時に,他者に対して文句を言うという行為は,誰しもが経験していることだと思います。
実際,腹の立つことがあったときには,つい文句の1つも言いたくなりますよね。ほとんど人間の本能に近いんじゃないかと思ってしまうくらい,世間ではそこら中に文句が溢れかえっています。
逆に言うと,そのように,社会において文句を言ったり言われたりというシチュエーションがありふれ過ぎているためか,「文句を言う」という行為がその人にどんな影響を及ぼすのか,ということついてはあまりスポットは当てられていないように思われます。
そこで,今回の投稿では,「文句を言う」という行為がその人にとってどんな影響を及ぼすかということを掘り下げてみたいと思います。
私が自らの行動指針の要としている選択理論心理学においては,「文句を言う」という行為は,「人間関係を破壊する7つの致命的習慣」の1つとされています(※「人間関係を破壊する7つの致命的習慣」については,こちらの過去記事をご参照ください。)。
皆さんは,これまで他者に対して文句を言うという行為を行った時,その後どのような展開になっていたでしょうか。
状況に応じて色々な展開がありえますが,例えば以下のような展開が考えられるのではないかと思います。
① (相手に非があると思われることに対する文句だったので)相手が自分の非を認めて,謝罪されるなどして話が終わった
② こちらの文句に対して相手も自分の言い分を言ってきて,口論(けんか)になった
③ 無視された(もしくはほとんど無視に近い対応をされた)
さて,②,③の場合に人間関係が破壊される方向に向かうというのは,皆さん特段の違和感はないと思います。
もちろん,雨降って地固まるのような場合もないわけではありませんが,基本的には,口論(けんか)になった場合に良い気分になる人間はまずいませんし,無視された場合は文句を言う前よりもさらに腹立たしさが増大するのではないかと思います。
これに対して,①はどうでしょうか。
一見すると,②,③に比べたら,人間関係を破壊するという方向にはいっていないように感じられませんか。
実際,①の展開になった場合,文句を言った側としては,『自分は正当な主張をして,相手がそれを受け入れてくれた(理解してくれた)』という満足感であったり,自分に不平や不満を感じさせた相手を屈服することができたという快楽的感情が芽生えて,比較的良い気分になることが多いでしょう。
これが曲者なのです。
自分としては正しいことをして,その結果気分も良くなったから,「文句を言う」という行為によって発生しているマイナス面に気が付かないんですね。
では,その「マイナス面」とは何なのか。
それは,自分が「文句を言われた側」に立った場合を考えてみれば,自ずと見えてくることです。
例え相手の言っていることが正論だったとしても,文句として言われるとムカッとくるのが人間ですよね。
「言っていることはわかるけど,そんな言い方しなくてもいいじゃないか!」と感じたご経験は,きっと誰しもお持ちではないでしょうか。
例えば,経済的な不安から,妻が夫に『もっと収入を上げてほしい』という願望を持っていたという場面を想像してみてください。
このような場合,妻から夫に対して,
「いつまでこんな安い給料が続くわけ!?子どもたちも大きくなってきたらもっとお金かかるんだから,なんとかしなさいよ!!」
と文句を言ったら,夫はどう感じるでしょうか。
こういう場合,実際に給料が安いことは夫自身も自覚しているケースがほとんどですから,妻の要望そのものは理解できるわけです。
でも,文句として言われると,
『ふざけんな!俺だってまじめに働いているんだ!給料を決めるのは会社なんだからしょうがないだろ!』
などというように,妻の文句に対する不快感情が湧き出てきてしまうわけです。
これをそのまま言葉に出せば,まさに上記の②口論のパターンになっていくわけですね。
また,口論になるのは面倒くさいが,かといって,自分の言い分もある中で素直に妻の文句に対して謝罪したりする気持ちにもなれないという時には,③無視(又はそれに近い対応)になるわけです。
そして,②はもちろんのこと,③の場合も結局は冷戦のようなけんかになるリスクがあるのでこれを避けたいと考えた時には,(色々と思うところはありつつも)
「なかなか給料上がらなくて申し訳ない。なんとか仕事頑張るので,勘弁してくれ。」
と言って,謝罪もしくはそれに類似する対応をするという展開になるわけです。
さて,以上のような(上記①に該当する)夫婦間のやりとりがあったとして,妻が夫にぶつけた文句には何らマイナス効果は発生していないでしょうか。
そんなことはありませんよね。
夫は,主として②,③により生じる面倒事を避けるために仕方なく①を選択したに過ぎないのであって,気分上々で①を選択してなどいません。
それどころか,内心では妻の文句に対して『ふざけるな!!』という憤りの感情が芽生えているわけです。
これって,間違いなく夫婦間の人間関係を破壊していると思いませんか?
会社における上司と部下のやりとりでも同じことがいえます。
上司から仕事について文句を言われた場合,多くの部下は,相手が上司である以上は簡単に逆らえないし,仮に逆らったとしてもかえって面倒なことになるだけ,と考えるので,表向きは,
「はい,すみませんでした。」
「次からは気を付けます。」
というように,おとなしく上司の文句を受け入れたかのような対応をします。
しかし,内心ではさっきの夫と同じように『ふざけるな!!』と思っているので,上司と部下の信頼関係は悪化の一途をたどります。
また,部下は,自分の反省点を改善する気持ちにもならず,仕事に対するモチベーションもダウンするので,“部下に成果を上げてもらう”という上司の重要な仕事の面からも大いにマイナスの効果が発揮されます。
以上に見てきたように,「文句を言う」という行為は,人間関係が破壊されることをはじめとして,実は言った本人に発生するマイナスの効果は計り知れないほど大きいのです。
ぜひ,皆さんは,文句を言いたくなるような場面こそ,あえて「(人間関係を良好にする)身に着けたい7つの習慣」(※詳細はこちら)を使うように心がけてみてくださいね!
実際,腹の立つことがあったときには,つい文句の1つも言いたくなりますよね。ほとんど人間の本能に近いんじゃないかと思ってしまうくらい,世間ではそこら中に文句が溢れかえっています。
逆に言うと,そのように,社会において文句を言ったり言われたりというシチュエーションがありふれ過ぎているためか,「文句を言う」という行為がその人にどんな影響を及ぼすのか,ということついてはあまりスポットは当てられていないように思われます。
そこで,今回の投稿では,「文句を言う」という行為がその人にとってどんな影響を及ぼすかということを掘り下げてみたいと思います。
私が自らの行動指針の要としている選択理論心理学においては,「文句を言う」という行為は,「人間関係を破壊する7つの致命的習慣」の1つとされています(※「人間関係を破壊する7つの致命的習慣」については,こちらの過去記事をご参照ください。)。
皆さんは,これまで他者に対して文句を言うという行為を行った時,その後どのような展開になっていたでしょうか。
状況に応じて色々な展開がありえますが,例えば以下のような展開が考えられるのではないかと思います。
① (相手に非があると思われることに対する文句だったので)相手が自分の非を認めて,謝罪されるなどして話が終わった
② こちらの文句に対して相手も自分の言い分を言ってきて,口論(けんか)になった
③ 無視された(もしくはほとんど無視に近い対応をされた)
さて,②,③の場合に人間関係が破壊される方向に向かうというのは,皆さん特段の違和感はないと思います。
もちろん,雨降って地固まるのような場合もないわけではありませんが,基本的には,口論(けんか)になった場合に良い気分になる人間はまずいませんし,無視された場合は文句を言う前よりもさらに腹立たしさが増大するのではないかと思います。
これに対して,①はどうでしょうか。
一見すると,②,③に比べたら,人間関係を破壊するという方向にはいっていないように感じられませんか。
実際,①の展開になった場合,文句を言った側としては,『自分は正当な主張をして,相手がそれを受け入れてくれた(理解してくれた)』という満足感であったり,自分に不平や不満を感じさせた相手を屈服することができたという快楽的感情が芽生えて,比較的良い気分になることが多いでしょう。
これが曲者なのです。
自分としては正しいことをして,その結果気分も良くなったから,「文句を言う」という行為によって発生しているマイナス面に気が付かないんですね。
では,その「マイナス面」とは何なのか。
それは,自分が「文句を言われた側」に立った場合を考えてみれば,自ずと見えてくることです。
例え相手の言っていることが正論だったとしても,文句として言われるとムカッとくるのが人間ですよね。
「言っていることはわかるけど,そんな言い方しなくてもいいじゃないか!」と感じたご経験は,きっと誰しもお持ちではないでしょうか。
例えば,経済的な不安から,妻が夫に『もっと収入を上げてほしい』という願望を持っていたという場面を想像してみてください。
このような場合,妻から夫に対して,
「いつまでこんな安い給料が続くわけ!?子どもたちも大きくなってきたらもっとお金かかるんだから,なんとかしなさいよ!!」
と文句を言ったら,夫はどう感じるでしょうか。
こういう場合,実際に給料が安いことは夫自身も自覚しているケースがほとんどですから,妻の要望そのものは理解できるわけです。
でも,文句として言われると,
『ふざけんな!俺だってまじめに働いているんだ!給料を決めるのは会社なんだからしょうがないだろ!』
などというように,妻の文句に対する不快感情が湧き出てきてしまうわけです。
これをそのまま言葉に出せば,まさに上記の②口論のパターンになっていくわけですね。
また,口論になるのは面倒くさいが,かといって,自分の言い分もある中で素直に妻の文句に対して謝罪したりする気持ちにもなれないという時には,③無視(又はそれに近い対応)になるわけです。
そして,②はもちろんのこと,③の場合も結局は冷戦のようなけんかになるリスクがあるのでこれを避けたいと考えた時には,(色々と思うところはありつつも)
「なかなか給料上がらなくて申し訳ない。なんとか仕事頑張るので,勘弁してくれ。」
と言って,謝罪もしくはそれに類似する対応をするという展開になるわけです。
さて,以上のような(上記①に該当する)夫婦間のやりとりがあったとして,妻が夫にぶつけた文句には何らマイナス効果は発生していないでしょうか。
そんなことはありませんよね。
夫は,主として②,③により生じる面倒事を避けるために仕方なく①を選択したに過ぎないのであって,気分上々で①を選択してなどいません。
それどころか,内心では妻の文句に対して『ふざけるな!!』という憤りの感情が芽生えているわけです。
これって,間違いなく夫婦間の人間関係を破壊していると思いませんか?
会社における上司と部下のやりとりでも同じことがいえます。
上司から仕事について文句を言われた場合,多くの部下は,相手が上司である以上は簡単に逆らえないし,仮に逆らったとしてもかえって面倒なことになるだけ,と考えるので,表向きは,
「はい,すみませんでした。」
「次からは気を付けます。」
というように,おとなしく上司の文句を受け入れたかのような対応をします。
しかし,内心ではさっきの夫と同じように『ふざけるな!!』と思っているので,上司と部下の信頼関係は悪化の一途をたどります。
また,部下は,自分の反省点を改善する気持ちにもならず,仕事に対するモチベーションもダウンするので,“部下に成果を上げてもらう”という上司の重要な仕事の面からも大いにマイナスの効果が発揮されます。
以上に見てきたように,「文句を言う」という行為は,人間関係が破壊されることをはじめとして,実は言った本人に発生するマイナスの効果は計り知れないほど大きいのです。
ぜひ,皆さんは,文句を言いたくなるような場面こそ,あえて「(人間関係を良好にする)身に着けたい7つの習慣」(※詳細はこちら)を使うように心がけてみてくださいね!