2017 05.09
人は論理ではなく感情で動く
皆さんは,自分の行動選択は論理的な根拠に基づいて決めているでしょうか?それとも,感情で決めているでしょうか?
今日は,人間関係を良好にする上で極めて重要であり,かつ基本的でありながらも,ほとんどの方が意識されていない原則をご紹介します。
それは,「人は論理ではなく感情で動く」という原則です。
これは,どんなに物事を冷静かつ理性的に考えるタイプの人であっても,その逆に,直情的にものを考えるタイプの人であっても,およそ人である限り,すべからく当てはまる原則です。
このように言うと,
「いや,自分は1つ1つの物事について論理性や合理性を考えて行動を選んでいるのであって,感情に流されているわけではない。」
と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
最終的に選んだ「行動」そのものについては,もちろん色々な考えをもって選択されていることは間違いないでしょう。
では,その行動を選択する基となった「動機」はいかがでしょうか?
この「動機」も,論理に基づいて形成されたものといえるのでしょうか?
具体例で考えてみましょう。
例えば,私はマンガが好きで,「週刊少年ジャンプ」や「週刊少年マガジン」をもう何年も購読し続けています。
私のこの「週刊マンガ雑誌を買う」という行動選択は,どのような動機に基づいて行なわれていると思いますか?
『趣味のマンガを読むことで,リラックスして楽しい気分を味わい,自らの活力を増強させて人生を豊かにしていく』
とまあ,大げさにいえば,このような理屈をつけることは可能でしょう。
でも,本来的にはもっとシンプルに一言で説明できる話ですよね。
要は,「読みたいから」買っているわけです。
もう少し深めるなら,「マンガを読んで楽しい気分になりたいから」買っているわけです。
いかがでしょうか?
このような,「楽しい気分になりたい」という欲求を充足するという動機(行動理由)は,論理でしょうか?感情でしょうか?
私個人の気持ちの問題ですから,どう考えても「感情」ですよね。
別な例えでもう少し考えてみましょう。
会社で,上司が,失敗をしてしまった部下に指導しているという場面を思い浮かべてみてください。
上司は非常に温和で丁寧な指導をしています。
また,その指導内容も,非常に理路整然としており,部下が十分に納得できるものでした。
さて,この時,上司がこのような指導を行うと決めた動機(行動理由)は,論理でしょうか?感情でしょうか?
失敗をした部下に対して感情的になり,激高して責めるような口調で,しかも指導内容も精神論に終始している,というような指導方法と異なり,部下の行動改善を促す上で,一定の合理性を有した効果的な行動選択といえそうな感じですよね。
そうであるならば,この上司の動機(行動理由)は,論理に基づくということになるでしょうか?
考えてみてください。
そもそも上司は何のために部下を指導しているのでしょうか?
部下の成長を促進し,成果を上げてもらうことが,組織における上司としての役割であり,務めだからですよね。
では,なぜ上司としての役割や務めを果たそうとするのでしょうか?
会社員としての務めを果たし,給与を得るため?
そのような役割を果たして,成果を上げることに達成感や満足感を覚えるため?
部下から尊敬してもらえることが嬉しいから?
単純に,人の役に立てることに幸せを感じるから?
上記のどれか1つという人もいれば,上記全てが当てはまる方もいるでしょう。
さて,これらの動機は,論理でしょうか?感情でしょうか?
「論理的」というのは,簡単にいえば,一定の原則や法則に照らして理に適っていることを意味しています。
では,「部下から尊敬してもらえることが嬉しい」というのは,論理的な動機でしょうか?
「人の役に立てることに幸せを感じる」というのはいかがでしょうか?
どれも個人的に感じる肯定的な「感情」であって,「論理」ではありませんよね。
このように,人が行動を選択する上での動機(行動理由)は,必ず,『~~したい』という「感情」(欲求)に基づいているのです。
では,このような「人は論理ではなく感情で動く」という原則に関する知識をどのように有効活用していくべきかについて考えてみましょう。
この原則は,夫婦,親子,きょうだい,上司,部下,同僚,先輩,後輩,友人,知人,顧客,取引先・・・等々あらゆる人間関係において,あなたが他者に何らかの行動をとってもらいたいと考える際に,その行動を実際にとってもらうべく働きかけるにあたって非常に大事な指針となります。
人は常に「感情」で動く生き物なのですから,どんな相手に対しても,その人に,あなたが望む行動をとりたいという感情が芽生えるようなアプローチをすればよいのです。
配偶者が自分に対して冷たいので,もっと思いやりを持って接してもらいたいと思うのであれば,まずはこちらが配偶者への思いやりを具体的な行動で示しましょう。人は恩を受ければそれを返したくなる生き物です。
「部下が使えない」と感じるのであれば,部下に関する情報を集めて,何が部下の「感情」(動機)に働きかけるキーになるのかを考えてみましょう。人が働くのは給料だけのためではありません。あなたが部下と仲良くなれば,『あなたと働くことが楽しい』,『あなたの役に立つことが嬉しい』というような形で,部下が行動するための「感情」を新たに作り出すことだって不可能ではありませんよ。
親との間で確執があるのであれば,自分が今ここに存在するのは親のおかげであることに感謝をし,そのことを親に伝えてみましょう。勇気のいる行動であり,簡単なことではないと思いますが,その分,効果も大きいはずです。
もっと自社の商品・サービスを顧客に使っていただきたいのであれば,顧客がどんなことを求めているのか(どんなことに不満を感じているのか)を知る努力をしましょう。その上で,そのような顧客の欲求を満たす価値が自社の商品・サービスには十分にあるのだということをきちんと顧客に伝えることができれば,強引な売り込みをかけたりするよりも,よほど効果的かつ効率的に取引が成立するはずですよ。
「人は論理ではなく感情で動く」
ぜひ,この原則を活用し,相手の「感情」に働きかけるアプローチを実践してみてくださいね!
今日は,人間関係を良好にする上で極めて重要であり,かつ基本的でありながらも,ほとんどの方が意識されていない原則をご紹介します。
それは,「人は論理ではなく感情で動く」という原則です。
これは,どんなに物事を冷静かつ理性的に考えるタイプの人であっても,その逆に,直情的にものを考えるタイプの人であっても,およそ人である限り,すべからく当てはまる原則です。
このように言うと,
「いや,自分は1つ1つの物事について論理性や合理性を考えて行動を選んでいるのであって,感情に流されているわけではない。」
と感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
最終的に選んだ「行動」そのものについては,もちろん色々な考えをもって選択されていることは間違いないでしょう。
では,その行動を選択する基となった「動機」はいかがでしょうか?
この「動機」も,論理に基づいて形成されたものといえるのでしょうか?
具体例で考えてみましょう。
例えば,私はマンガが好きで,「週刊少年ジャンプ」や「週刊少年マガジン」をもう何年も購読し続けています。
私のこの「週刊マンガ雑誌を買う」という行動選択は,どのような動機に基づいて行なわれていると思いますか?
『趣味のマンガを読むことで,リラックスして楽しい気分を味わい,自らの活力を増強させて人生を豊かにしていく』
とまあ,大げさにいえば,このような理屈をつけることは可能でしょう。
でも,本来的にはもっとシンプルに一言で説明できる話ですよね。
要は,「読みたいから」買っているわけです。
もう少し深めるなら,「マンガを読んで楽しい気分になりたいから」買っているわけです。
いかがでしょうか?
このような,「楽しい気分になりたい」という欲求を充足するという動機(行動理由)は,論理でしょうか?感情でしょうか?
私個人の気持ちの問題ですから,どう考えても「感情」ですよね。
別な例えでもう少し考えてみましょう。
会社で,上司が,失敗をしてしまった部下に指導しているという場面を思い浮かべてみてください。
上司は非常に温和で丁寧な指導をしています。
また,その指導内容も,非常に理路整然としており,部下が十分に納得できるものでした。
さて,この時,上司がこのような指導を行うと決めた動機(行動理由)は,論理でしょうか?感情でしょうか?
失敗をした部下に対して感情的になり,激高して責めるような口調で,しかも指導内容も精神論に終始している,というような指導方法と異なり,部下の行動改善を促す上で,一定の合理性を有した効果的な行動選択といえそうな感じですよね。
そうであるならば,この上司の動機(行動理由)は,論理に基づくということになるでしょうか?
考えてみてください。
そもそも上司は何のために部下を指導しているのでしょうか?
部下の成長を促進し,成果を上げてもらうことが,組織における上司としての役割であり,務めだからですよね。
では,なぜ上司としての役割や務めを果たそうとするのでしょうか?
会社員としての務めを果たし,給与を得るため?
そのような役割を果たして,成果を上げることに達成感や満足感を覚えるため?
部下から尊敬してもらえることが嬉しいから?
単純に,人の役に立てることに幸せを感じるから?
上記のどれか1つという人もいれば,上記全てが当てはまる方もいるでしょう。
さて,これらの動機は,論理でしょうか?感情でしょうか?
「論理的」というのは,簡単にいえば,一定の原則や法則に照らして理に適っていることを意味しています。
では,「部下から尊敬してもらえることが嬉しい」というのは,論理的な動機でしょうか?
「人の役に立てることに幸せを感じる」というのはいかがでしょうか?
どれも個人的に感じる肯定的な「感情」であって,「論理」ではありませんよね。
このように,人が行動を選択する上での動機(行動理由)は,必ず,『~~したい』という「感情」(欲求)に基づいているのです。
では,このような「人は論理ではなく感情で動く」という原則に関する知識をどのように有効活用していくべきかについて考えてみましょう。
この原則は,夫婦,親子,きょうだい,上司,部下,同僚,先輩,後輩,友人,知人,顧客,取引先・・・等々あらゆる人間関係において,あなたが他者に何らかの行動をとってもらいたいと考える際に,その行動を実際にとってもらうべく働きかけるにあたって非常に大事な指針となります。
人は常に「感情」で動く生き物なのですから,どんな相手に対しても,その人に,あなたが望む行動をとりたいという感情が芽生えるようなアプローチをすればよいのです。
配偶者が自分に対して冷たいので,もっと思いやりを持って接してもらいたいと思うのであれば,まずはこちらが配偶者への思いやりを具体的な行動で示しましょう。人は恩を受ければそれを返したくなる生き物です。
「部下が使えない」と感じるのであれば,部下に関する情報を集めて,何が部下の「感情」(動機)に働きかけるキーになるのかを考えてみましょう。人が働くのは給料だけのためではありません。あなたが部下と仲良くなれば,『あなたと働くことが楽しい』,『あなたの役に立つことが嬉しい』というような形で,部下が行動するための「感情」を新たに作り出すことだって不可能ではありませんよ。
親との間で確執があるのであれば,自分が今ここに存在するのは親のおかげであることに感謝をし,そのことを親に伝えてみましょう。勇気のいる行動であり,簡単なことではないと思いますが,その分,効果も大きいはずです。
もっと自社の商品・サービスを顧客に使っていただきたいのであれば,顧客がどんなことを求めているのか(どんなことに不満を感じているのか)を知る努力をしましょう。その上で,そのような顧客の欲求を満たす価値が自社の商品・サービスには十分にあるのだということをきちんと顧客に伝えることができれば,強引な売り込みをかけたりするよりも,よほど効果的かつ効率的に取引が成立するはずですよ。
「人は論理ではなく感情で動く」
ぜひ,この原則を活用し,相手の「感情」に働きかけるアプローチを実践してみてくださいね!