2016 09.01
昨日に続いて,傾聴が求められている場面では,4つの自叙伝的反応を抑える代わりに,どんな反応が望ましいのかという点についてお話ししていきたいと思います(前篇はこちら)。
7つの習慣において,コヴィー博士は,傾聴スキルには4つの段階があると説いています。
奇しくもこちらも「4つ」なわけですが,内容は以下のとおりです。
第1段階 相手の言葉をそのまま繰り返す
第2段階 相手の言葉を自分の言葉に置き換える
第3段階 相手の気持ちを言葉にする
第4段階 相手の言葉を自分の言葉に置き換えると同時に,相手の気持ちを言葉にする
それぞれ具体例で見ていきましょう。部下が上司に対して相談してきたという場面を想定します。
まず,第1段階はごく単純です。
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「なるほど,成果が上がらず,どうしたよいかわからないのだね。」
こんな感じで,いわゆるオウム返しをすることです。
確かに,部下としては,話を聞いてくれていることは感じられますが,オウム返しは何も考えずにただ聞いているだけでもできる反応のため,相手に送る心理的空気の量は少ないですね。
これに対して,第2段階は,例えば以下のような形になります。
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「今の成果には満足しておらず,もっと成果を上げたいんだね?」
第2段階では,「成果が上がらずどうしたらよいかわからない」という言葉に対して,上司は,どういう意味で部下はこのような言葉を口にしたのかを考えて,自分の言葉で言い直しています。
『成果が上がらずどうしてよいかわからない』=『もっと成果を上げていきたい』というように,部下の言葉の核心をより端的に表現しているという点で,第1段階よりも部下の言葉を深く聴いているという感じがしますよね。
では,第3段階はどのようなイメージになるでしょうか。
この段階では,成果が上がらずどうしてよいかわからないという部下はどんな心理状況にあるのか,どんな気持ちになっているのかを考えて,それを言葉として表現します。
例えば,
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「なかなかうまくいかず,困っているようだね(落ち込んでいるようだね)。」
などという形になります。
「困っている」とか,「落ち込んでいる」というのは,言葉や態度から推し量られる相手の心境・感情ですよね。これを言葉にしていくわけです。
最後に第4段階は,第2段階と第3段階を組み合わせて,
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「もっと成果を上げたいのに,なかなか結果が出ず,困っているようだね(落ち込んでいるようだね)。」
というような形になります。
上司からこのように寄り添った反応をしてもらえたら,部下は,
「そうなんです!今の成果には満足していなくて,もっと成果を上げていきたいのですが,なかなかうまくいかない状態が続いていて,正直きついなと思っていたんです・・・」等というように,今の自分の心境や,上司に相談したいことの核心などをもっと話したくなりますよね。
ちなみに,自叙伝的反応を用いた場合は,以下のような感じになるかと思います。
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司の反応例①「君のやり方じゃ全然だめだよ。」(評価する)
上司の反応例②「〇〇くん,ちゃんと成果が上がるように努力してるのか?」(探る)
上司の反応例③「何を言ってるんだ。やる気が足りないからだろ。もっとやる気を出せ!」(助言する)
上司の反応例④「成果が上がる秘訣でも教えてほしいのか?そんなものがあるなら俺だって知りたいよ。」(解釈する)
以上はちょっと極端な例ではありますが,親身になって話を聞いてもらいたいのに,このような反応をされたり,あるいは,逆にしてしまった経験は,誰しもあると思います。
これでは,上司に相談しようという気にすらならなくなってしまいますよね。
第2段階や第3段階は,ただ耳から情報を入れるというだけでは足りず,集中力や思考力を必要とするので,その分楽ではありません。
しかし,だからこそ,対話の相手は,あなたが本当に自分の話を真剣に聴いてくれているという安心感や信頼感を感じ,信頼口座の残高が増えていくのです。
そうして,傾聴を続ける中で,
部下「マネージャーは,私くらいのキャリアの頃は,成果を上げるためにどのようなことをされていたのですか?」
というように,上司の経験や知識などを基にした具体的なアドバイスを求めてきたら,その段階で初めて自叙伝を展開すればよいのです。
ただし,自慢話は禁物ですよ(笑)。
自分の行動によって具体的なこんな成果が上がった,というように,端的に事実を述べるのは必要なことですが,それ以上に,その成果によってやれ誰々にほめられただの,モテただのというように,必要以上に自分がいかにすごいかをアピールするような話をしてしまうと,いくら自叙伝を聞く気になっている相手でも,引いてしまいますよね(苦笑)。
傾聴の4段階と自叙伝的反応を上手に使い分けて,ぜひ,良好な人間関係を創っていきましょう!
7つの習慣において,コヴィー博士は,傾聴スキルには4つの段階があると説いています。
奇しくもこちらも「4つ」なわけですが,内容は以下のとおりです。
第1段階 相手の言葉をそのまま繰り返す
第2段階 相手の言葉を自分の言葉に置き換える
第3段階 相手の気持ちを言葉にする
第4段階 相手の言葉を自分の言葉に置き換えると同時に,相手の気持ちを言葉にする
それぞれ具体例で見ていきましょう。部下が上司に対して相談してきたという場面を想定します。
まず,第1段階はごく単純です。
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「なるほど,成果が上がらず,どうしたよいかわからないのだね。」
こんな感じで,いわゆるオウム返しをすることです。
確かに,部下としては,話を聞いてくれていることは感じられますが,オウム返しは何も考えずにただ聞いているだけでもできる反応のため,相手に送る心理的空気の量は少ないですね。
これに対して,第2段階は,例えば以下のような形になります。
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「今の成果には満足しておらず,もっと成果を上げたいんだね?」
第2段階では,「成果が上がらずどうしたらよいかわからない」という言葉に対して,上司は,どういう意味で部下はこのような言葉を口にしたのかを考えて,自分の言葉で言い直しています。
『成果が上がらずどうしてよいかわからない』=『もっと成果を上げていきたい』というように,部下の言葉の核心をより端的に表現しているという点で,第1段階よりも部下の言葉を深く聴いているという感じがしますよね。
では,第3段階はどのようなイメージになるでしょうか。
この段階では,成果が上がらずどうしてよいかわからないという部下はどんな心理状況にあるのか,どんな気持ちになっているのかを考えて,それを言葉として表現します。
例えば,
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「なかなかうまくいかず,困っているようだね(落ち込んでいるようだね)。」
などという形になります。
「困っている」とか,「落ち込んでいる」というのは,言葉や態度から推し量られる相手の心境・感情ですよね。これを言葉にしていくわけです。
最後に第4段階は,第2段階と第3段階を組み合わせて,
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司「もっと成果を上げたいのに,なかなか結果が出ず,困っているようだね(落ち込んでいるようだね)。」
というような形になります。
上司からこのように寄り添った反応をしてもらえたら,部下は,
「そうなんです!今の成果には満足していなくて,もっと成果を上げていきたいのですが,なかなかうまくいかない状態が続いていて,正直きついなと思っていたんです・・・」等というように,今の自分の心境や,上司に相談したいことの核心などをもっと話したくなりますよね。
ちなみに,自叙伝的反応を用いた場合は,以下のような感じになるかと思います。
部下「マネージャー,全然成果が上がらず,どうしたらよいかわかりません・・・」
上司の反応例①「君のやり方じゃ全然だめだよ。」(評価する)
上司の反応例②「〇〇くん,ちゃんと成果が上がるように努力してるのか?」(探る)
上司の反応例③「何を言ってるんだ。やる気が足りないからだろ。もっとやる気を出せ!」(助言する)
上司の反応例④「成果が上がる秘訣でも教えてほしいのか?そんなものがあるなら俺だって知りたいよ。」(解釈する)
以上はちょっと極端な例ではありますが,親身になって話を聞いてもらいたいのに,このような反応をされたり,あるいは,逆にしてしまった経験は,誰しもあると思います。
これでは,上司に相談しようという気にすらならなくなってしまいますよね。
第2段階や第3段階は,ただ耳から情報を入れるというだけでは足りず,集中力や思考力を必要とするので,その分楽ではありません。
しかし,だからこそ,対話の相手は,あなたが本当に自分の話を真剣に聴いてくれているという安心感や信頼感を感じ,信頼口座の残高が増えていくのです。
そうして,傾聴を続ける中で,
部下「マネージャーは,私くらいのキャリアの頃は,成果を上げるためにどのようなことをされていたのですか?」
というように,上司の経験や知識などを基にした具体的なアドバイスを求めてきたら,その段階で初めて自叙伝を展開すればよいのです。
ただし,自慢話は禁物ですよ(笑)。
自分の行動によって具体的なこんな成果が上がった,というように,端的に事実を述べるのは必要なことですが,それ以上に,その成果によってやれ誰々にほめられただの,モテただのというように,必要以上に自分がいかにすごいかをアピールするような話をしてしまうと,いくら自叙伝を聞く気になっている相手でも,引いてしまいますよね(苦笑)。
傾聴の4段階と自叙伝的反応を上手に使い分けて,ぜひ,良好な人間関係を創っていきましょう!