阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 08.13

落ち着いた建設的な議論をするための必須条件(前篇)

皆さんは人とお話をする際に,心に決めている自主ルールはありますか?

私はあります。

それは,「相手のお話を途中で遮ってこちらの話をしない。」ということです。

「なんだそんなことか。」と思われた方もいるかもしれませんね。

でも,ビジネスでもプライベートでも,常にこれができている人は世の中にあまり多くはありません。

皆さんは,誰かと対話をしているときに,相手の言っている内容について,相手の話がまだ途中であっても,自分に対する誤解があるとか,言われなき誹謗中傷であると感じる等の理由から,一刻も早く相手の誤解を解いたり,相手の主張内容に理由がないことを納得させたい等の理由により,相手の言葉を遮って自分の主張を述べようとしたことはありませんか。

私も少し前までは,このようなことをやってしまうことがよくありました。

確かに,相手の話の途中で,明らかに自分のことを誤解しているとか,明らかに不合理なことを言っていると感じたら,一刻も早くそれを正したいと思うのは,人間として無理からぬことだと思います。

しかしながら,ほぼ毎回申し上げているように,(誤解を正したり,不合理な発言の基となっている考え方を変えてもらいたい等の)目的達成との関係では,上記のようなアプローチはおよそ効果的とは言い難いと考えられます。

皆さんも逆の立場のご経験がおありかと思いますが,理由はどうあれ,自分の話を途中で遮られた側は,およそいい気持ちはしません。

そのような状態で,素直に相手の意見や持論についてしっかりと理解しようなどという気持ちにはおよそなりにくいのが,人間というものです。

だからこそ,私は,自分の意見や考えに耳を傾けてほしいと思えば思うほど,まず相手の考えや,こちらに聞いてほしいと思っていることを先に聴くようにしています。


「7つの習慣」においてコヴィー博士は,私の自主ルールをさらに一歩進めて,「トーキングスティックによるコミュニケーション」という方法を提唱しています。

これについては,明日の後編で詳しくお話ししたいと思います。