阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 08.08

なぜ人は二日酔いを繰り返すのか

友人が,フェイスブックにて,「二日酔いに頻繁になっている人は,深酒をした翌日にあれだけ辛い思いをするとわかっていながら,なぜまた深酒を繰り返してしまうのだろう?」と疑問を投げかけていたので,今日は,その問題について,人間心理をベースにひも解いてみたいと思います(笑)。

皆さんは,二日酔いを経験されたことがありますか?

私は,最近でこそ減りましたが,以前はしょっちゅうでした(^_^;)

経験のある方ならおわかりかと思いますが,あれは確かにつらいですよね。

人によって症状は違うと思いますが,おおまかにいえば,頭痛,吐き気,だるさ,その他いろいろな苦痛が発生します。

まあ,正直言って,二日酔いになって良いことは一つもないでしょう。

それでも,お酒好きの人で,頻繁に二日酔いになってしまう人はけっこういますよね。

それはなぜなんでしょうか。

自制心が弱いから?

酔っぱらって飲酒の量がコントロールできなくなるから?

元々(お酒に)弱いから?

そもそも飲むペース等の調整が下手だから?

どれも,一面的には理由になっているでしょうが,根本的な理由ではないと私は思っています。

二日酔いを繰り返してしまう最大の理由として私が思うのは,「二日酔いの苦しさよりも,深酒をすることで欲求を満たす方が自分にとって重要と判断している(もしくは重要と思い込んでいる)」ということです。

どういうことかわかるでしょうか?

二日酔いをするくらい深酒をしてしまうパターンというのはいくつかありますが,代表的なところでは以下のようなものが挙げられるでしょう。

① 一緒に飲んでいる人が飲み続けていたので,自分も飲み続けた。

② お酒を飲んで我を忘れたい気分だった。

③ (大勢での)飲み会の場が楽しくて,つい飲みすぎてしまった。

④ 接待等,仕事上の必要性で,勧められるお酒を断れなかった。

どれも結構ありがちなところかなと思います。

私も,全て経験があります(苦笑)。

これらを,上記の理由にあてはめて考えてみます。

①の場合,一緒に飲んでいる人と楽しい時間を過ごしている中で,相手が飲んでいると,自分も合わせて飲むということは多いと思います。

この時,表面的にではなく,心の奥底では,人はどんなことを考えていると思いますか。

十中八九,「相手が飲んでいるのに自分も飲まないのは悪いな。」とか,「相手が飲むなら自分も飲まないとテンション下がるよな。」といったような考えのはずです(ご自身を振り返ってみてください)。

ここでは,「相手に付き合いの悪い人だと思われたくない。」とか,「相手も飲むなら自分も飲み続けないと楽しくない。」というパラダイム(≒思い込み)のもとに,上記のような考えが浮かび,深酒という選択をします。

②の場合,「今の自分のマイナスな気分をごまかすには,酒でも飲んで思考力を鈍らせるしかない。」というパラダイム(≒思い込み)のもとに,深酒という選択をします。

③の場合,「お酒を飲み続けないと,今の楽しい気分が維持できない。」とか,「飲み続けないと場が白けてしまう。」というパラダイム(≒思い込み)のもとに,深酒という選択をします。

④の場合,「仕事上の付き合いである以上,断っては接待相手に気に入られず,仕事がうまくいかない。」というパラダイム(≒思い込み)のもとに,深酒という選択をします。

このように,人は,様々な場面において,自分の欲求充足との関係で,翌日が二日酔いで辛いということを差し引いても,その瞬間深酒という選択肢が重要と判断し,結果として二日酔いに至るわけです。

以前にもブログでお話ししたように,「人は常に(その人なりに)最善の行動を選択している。」という大原則があります。

深酒の場合もまさにその大原則があてはまるわけですね。

その人なりには(=その人の持つパラダイムの基では),その時その時で最善の選択として,深酒を選んでいるわけです。

ところが,上記①~④の話で述べたようなパラダイムを持っていない人は,翌日の二日酔いというダメージを抱えてでも,深酒を選ぶという動機付けが働かないわけです。

そのため,「なんでわざわざあんなに辛い二日酔いになるとわかっているのに深酒するんだろう?」と疑問に感じるわけですね。

まあ,身もふたもないことを言ってしまいますと,結局はその人の持つパラダイムが原因ですよ,ということになります。

なので,いつも二日酔いになると後悔してしまい,「もう二度と二日酔いになんて絶対なりたくない!」という人は,自分が深酒をする基になっているパラダイム(=考え方)が何なのかを考えてみましょう。

上記①の場合,そもそも,一緒に飲んでいて楽しい相手であれば,二日酔いになるほど飲まずに途中からソフトドリンクに切り替えたところで,別に相手も気にしないだろうし,テンションも下がらないのではないか,という仮説を立てて,ぜひ実験してみてください。

上記②の場合,そもそも我を忘れるほど飲んだところで,マイナスな気分が真に解消されるわけではなく,自己成長や問題解決に向けた建設的な行動をとることの方が,よっぽど心の安定を取り戻せるのではないか,という仮説を立てて,ぜひ実験してみてください。

上記③の場合,盛り上がっている楽しい飲み会の場であれば,途中からソフトドリンクに切り替えたり,水を飲みながらゆっくり飲むようにしたところで,仲間との会話や,遊び自体が楽しいものであれば,盛り下がることはないのではないか,と仮説を立てて,ぜひ実験してみてください。

上記④の場合,そもそもこちらが二日酔いになるほど飲まないと仕事につながらないような相手(=こちらのことを何も考えず,自分だけが刹那的に楽しければそれでいいと思っている相手)と本当にビジネス関係を構築するべきなのか,という仮説を立てて,ぜひ検証してみてください。

念のためもう一度言っておきますが,以上は,あくまで「もう二度と二日酔いになんてなりたくない!」とお考えの人に向けたお話です。

別に二日酔いになっても,その時その時,必要に応じて深酒をすることは自分にとって重要だという考えをお持ちの方は,それはそれでよいと思います笑

自戒をこめての話ですが,それぞれのパラダイムの基,お酒とは上手に付き合っていきたいものですね(^^)