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201611.1

相手(の立場)に配慮するのは自分のためである

私は,弁護士として個々の事件に対応する際には,原則として,できる限り相手方の立場や考え方に配慮し,こちらの要求を受け入れてもらう上で相手にとって障害となっている部分について,それをなくすための方策を考えるようにしています。

それは,こちらの要求が法的に見て明らかに正当性を有しており,相手方の反論に十分な正当性や根拠がない場合であっても同様です。

「こちらの主張が正当なんだから,相手方がそれに応じるのが当然なのに,なんでわざわざこちらが相手方に配慮したり,まして相手方の行動障害を取り除く支援なぞせにゃいかんのじゃ!?」

そう思う方もおられるかもしれませんね。

理由は簡単です。

その方が,私が目指す目的(ゴール)を達成する近道だからです。

言い換えれば,自分にとってその方が都合がよいということです。

毎度よくお話ししていることですが,皆さん自分に置き換えて考えてみてください。

相手から何らかの対応を迫られており,相手の主張には法律的にも道義的にも正当性が認められるようなケースを想定してみましょう。

このようなケースにおいて,

①相手方が,自分たちの主張内容が正当であることを笠に着て高圧的にこちらに対応を迫ってくる場合

②相手方が,自分たちの主張内容の正当性ばかりを前面に押し出すのではなく,そのことを踏まえつつも,こちらの立場や状況等に理解を示し,こちらが動くために越えなければならないハードルを越えるためのフォローをしてくれる場合

あなたがより相手の要求に応じやすいのはどちらでしょうか。

自分が要求を迫られている立場であったら,どう考えても②のようなアプローチをされた方が,対応しようという動機が芽生えやすいですよね。

①の場合,理屈の上では相手の言っていることが正当だとはわかっていても,相手の迫り方にいら立ちを覚えて,できる限り抵抗したくなったり,場合によっては対応を放棄したくなったりしても不思議はないでしょう。

このように,自分が要求を迫られている側に立った時のことを考えれば,こちらの主張の正当性に関係なく,相手方の立場や事情に理解を示し配慮することが,いかにこちらの目的を達成するために効果的かということがよくお分かりいただけるのではないかと思います。

それなのに,世の中の多くの交渉においては,一方的に自分たちの正当性ばかりを振りかざして相手に行動を求めるというパターンが溢れかえっています。

交渉事だけではありません。組織作りや,上司の部下に対するマネジメントの場面でも,相手の考えに理解を示し,相手の立場や状況に配慮した上でこちらの要望を伝えるということは非常に効果的ですが,世の中の多くのマネージャーはそのことに思い至っておらず,わざわざ,目的目標達成に逆効果な行動ばかりをとり続けています。


私が一方当事者の代理人という立場を務める弁護士でありながらwin-win(双方勝利)を目指すのは,何も崇高な理由からではありません。

win-winを目指すことが,私の依頼してくださったクライアントさんの成功や幸福という最重要目的の達成に向けて最も効果的だからそうしているのです。

例えば,紛争解決交渉において,相手方に何ら配慮なく,一方的にこちらの法的正当性を強調し,こちらは裁判も辞さない考えだからさっさと対応しろ,という趣旨のアプローチをしたとします。

一見すると,クライアントが正当であることを強調し,相手に強く行動を促しているので,クライアントとしても頼もしく感じることでしょう。

しかしながら,このようなアプローチを受けた相手方はどう感じるでしょうか。

人によっては,『裁判までされては叶わん!すぐに対応しなければ!』と考えて,こちらの要求に応じてくることもあるかもしれませんが,おそらくそのような人は少数でしょう。

多くの場合は,自分にも言い分があったり(※だからこそ紛争になるわけです。),こちらのアプローチに対してどう対応してよいか決められず無視をしたりで,こちらの望むような動きはしてくれません。

そのように交渉が難航すればするほど,クライアントの目的達成からは遠ざかっていくことになります。

もちろん,中にはこちらが配慮の姿勢を見せたら,相手方がつけあがって無茶な要求をしてくるケースもありますが,そのような場合は,こちらは冷静かつ毅然と対応して,法的対応等の選択肢をとっていけばよいのであって,目的達成に向けて大きな回り道をしていることにはならないでしょう。


『相手に配慮するのは,相手のためではなく自分のためである。』

『情けは人の為ならず』とはよく言ったものですよね。

ぜひ,『まずは理解と配慮を』という気持ちで,他者とのコミュニケーションをとってみてくださいね!