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20168.15

落ち着いた建設的な議論をするための必須条件(後篇)

前篇では,「こちらで言いたいことが出てきたときでも相手の話を遮らない。」というトークルールについてお話ししました。

後篇では,その上級編である「トーキングスティック話法」についてお話ししたいと思います。

「トーキングスティック話法」は,インディアンの部族会議において用いられている方法で,「トーキングスティック」という杖のようなものを持っている人しか話をすることができず,他のメンバーは,現在のスティックの持ち主のお話を完全に理解したと持ち主自身が納得できるまで,その内容について説明をしなければなりません。

もし,持ち主が,『自分の話を理解してもらっていない』と感じた場合には,トーキングスティックは引き続き現在の持ち主が持ったままとなり,再度話を続けることになります。

このように,「トーキングスティック話法」の肝は,単に誰かが話している最中には他のメンバーは話をしないというのみならず,現在の話し手のトーク内容を他のメンバーが理解してくれていると“話して自身が”納得しない限り,スピーカーは交代しないという点にあります。

これ,実際にやってみたらどうなると思いますか?

お互いの話の真意をお互いに十分納得しながら議論を進めるわけですから,思い込み,勘違い,あるいは不必要な感情的発言等による議論のすれ違い・錯綜といった状況はまず起きないでしょう。

それどころか,お互いに相手の主張にはそれなりの理由があるということを理解することができるため,win-winを目指しやすい空気が醸成されていきます。

つまり,不必要な口論や論争はほとんど起きなくなり,落ち着いた建設的な議論をすることが可能になるということです。

私自身は,トーキングスティックを用いた議論をダイレクトに体験したことがあるわけではないのですが,クライアントとお話をするときに,相手の話がひと段落つくまで聴いた後に,「今のお話は,つまり~~ということで,~~という点であなたは困っていらっしゃることから,~~~についてどう考えればよいのかを弁護士に聞きたくてご相談にいらっしゃたと理解しましたが,間違っている部分や理解が不十分なところはございませんか?」という感じで,こちらの理解した内容をお伝えするようにしています。

もちろん,初対面の弁護士に対してこのように聞かれて,実際はどこか足りない部分があったとしても,そのことを指摘するのはちょっと抵抗があるという場合もあるでしょうから,全てのクライアントにおいて完全に奏功しているとまではいえないでしょうが,多くのケースでは,上記のような理解を示すことにより,間違いなくクライアントとの信頼関係構築はスムーズになっていると感じます。

皆さんも,ぜひ,社内外での様々な会議や,ビジネスパートナー(候補)とのビジネストークの場,あるいは顧客に対するセールストーク場面などで,「トーキングスティック話法」のエッセンスを活用してみてください。

特に,社内での部下との信頼関係増強には絶大な効果を発揮するはずです。自分の話した内容を上司が十二分に理解してくれていると確信できることにより,部下は(誰しも本能的に有している)承認欲求が大幅に満たされ,必然的に上司に好感を持つようになるからです。

ちなみに,「トーキングスティック話法」のエッセンスを用いた場合,『相手が納得できるくらい,相手の話の趣旨を十分説明できるよう,しっかり耳を傾けなければならない。』という意識が働くため,必然的に「傾聴モード」へと入っていくことができます。これも「トーキングスティック話法」の良いところだと思います。

相手の話の内容が不適切,不合理だったとしても,まずは話の内容をこちらが十分に理解していることを相手が納得した上で誤りを正すのと,相手の話の内容に関する理解を何ら示さずに一方的に誤りを正すのとでは,相手に与える影響力の度合いは天地に等しい差があります。

ぜひ,実際に行動してみて,それを実感していただけたら幸いです(^^)