北海道札幌市の法律・交通事故をメインとした法務、企業のコンプライアンス・業務効率化をサポート

お知らせ / ブログ [ Information & Blog Single ]

20168.8

新入社員の効果的な指導・教育方法とは

皆さんは,ご自身の職場に学生上がりの新卒新入社員が入ってきた時に,挨拶1つまともにできないとか,会社の慣習に合わせようとしない等といった事態が発生し,困惑したことはありませんか?

一人前の社員としての仕事ができないのは仕方ないにしても,挨拶とか,会社の慣習に従う等ということは,特段の経験は必要ないし,難しいことでもないのに,なぜそんなレベルのことができないのだ!?と苛立ちを覚えた経験をお持ちの方は,きっと少なくないのではないかと思います。

確かに,挨拶は,人と人とが良好な関係を築き,円滑なコミュニケーションをとる上でとても重要な行動ですよね。

また,入ったばかりの新入社員であれば,まずは会社の慣習をしっかりと身に着けて上司や先輩社員と足並みをそろえることも,重要な行動といえるでしょう。

このような,基本的ではありながらも,社員として重要な行動をきちんとできていないという人間がいた場合,皆さんならどうしますか?

多くの方は,「指導する」と考えるでしょう。日本社会は,一度雇った従業員を簡単に解雇することはできない法制度がとられていますので,まずはしっかり指導して,改善を促すというのが大多数の方の発想ではないかと思います。

それ自体はまったくもっておかしな考え方ではありません。改善してもらうために,ダメなところを注意して,直してもらう。どこの会社でも多かれ少なかれよくある光景でしょう。

しかしながら,この「指導」の際に,なぜ当該新入社員が,挨拶ができていなかったり,会社の慣習に従わなかったりするのかについて,きちんとその理由をまず聞いて,彼ら・彼女らの考えを理解することに徹した上で,その考えを踏まえて指導をしているという方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

(ちなみに,「なんでまともに挨拶の1つもできないんだ!」等と,言葉としてはwhyを使っていつつも,実質的には質問ではなく詰問(責めて問いただすこと)をしているような場合は,理解に徹しているとは到底言い難いので,その点はご注意くださいね。)

おそらく,そのようにステップを踏んだうえで指導をしているという方は少ないか,あるいはほとんどいないのではないかと思います。

こんな話をしたら,

「なんでそんな回りくどいことをしなければならないのだ。問題行動をしているのは当該新入社員の方なんだから,端的にそれを注意して,直させればよいではないか。」

そんな声がそこかしこから聞こえてきそうですね。

でもね,はっきり言います。

単に「挨拶をちゃんとしろ。」とか,「会社のルールなんだから守れ。」と言って,すぐに新入社員の問題行動が改善するのであれば,誰も苦労はしません。

これは別に新入社員に限った話ではありません。どんな相手であっても,単に「~しろ。」などと注意しただけで行動が改善するなら,世の中から人材教育事業なんてものは消え失せるでしょう。

例え多少言い方に気をつけていたとしても,「あれをしろ」「これをしろ」という趣旨の注意をしたからといって,そう簡単に人の行動は変わりません。

なぜなら,人の行動は,その人自身が自ら望んで自発的に変えない限り,他人が変えることはできないからです。

そして,自ら自発的に変えてもらうためには,彼ら・彼女らのパラダイムに変化を与える必要があります。

例えば,挨拶がちゃんとできない新入社員は,なぜ挨拶が重要なのか,挨拶という行動が自分にとってどんな意味を持つのか,ということがよくわかっていないから,積極的に挨拶をしようという気になっていない可能性が高いです。

自分にとって大事な意味を持つとわかっていれば,特にスキルや技術を必要としない行動である以上,やろうと思えばすぐにやれるはずですからね。

そのような仮説をイメージした上で,実際に,当該社員にとって挨拶とはどんな位置づけなのか,どんな意味を持っているのか,という点について確認し,それを受容して,理解に徹します
(※この「受容する」というところがキーポイントです。相手のパラダイムを否定するのではなく,まずはきちんと受けいれましょう。でないと,行動変容を促す働きかけを行う前に,相手は殻に閉じこもります。)

「挨拶の有無は自分の担当業務の質に何ら影響しないのに,仕事に集中している手を止めてまで,挨拶をしなければならないというのがよくわからない。」というパラダイムかもしれません。

「大きな声を出すのが苦手で,言っても相手に声が届かず,気づいてもらえないかもしれない不安を思うと,積極的に声がでない。」という葛藤を抱えているのかもしれません。

「他の先輩や上司が気持ちよく挨拶している姿をあまり見ていないので,自分だけはつらつと挨拶するのは悪目立ちしそうで抵抗がある。」と思っているかもしれません。

これらはほんの一例ですが,とにかく,上司の側から見て十分な挨拶ができていない人には,それなりの理由があります。必ずあります。

指導担当の人間がすべき本来の「指導」とは,その理由(パラダイム)をきちんと彼ら・彼女らに開示してもらい,理解に徹したうえで,そのパラダイムのシフト(変容)を促すための情報提供や,勇気づけ,支援を行うことです。

決して,「挨拶しろ。」などと命令することではありません。

仕事に集中している手を止めてまで挨拶しなければならない必要性がわからないというパラダイムを持っている新入社員には,誰のおかげでその仕事に挑戦できているのかを考えてもらうといいかもしれません。

会社の仕事は,必ず,自分以外の誰かの努力によって生まれているものです。つまり,自分が今没頭できる仕事に向き合えているのは,上司,先輩,同僚等会社の仲間たちのおかげといえます。

そうであるならば,会社の仲間が気持ちよく仕事ができるように,こちらから「お疲れ様です!」と積極的に労いの言葉をかけたり,感謝の言葉を頻繁に述べたり,笑顔で接したりすることで,巡り巡って,結局自分がやりたい仕事も増えることになるし,相互の信頼関係も増強して,より自分の仕事がやりやすくなるはずです。

というように,自分の仕事をより楽しくやるために,あるいはよりいい仕事をするために,挨拶は重要な価値を持っているのだ,ということについて,本人に気付いてもらうことが肝要です。

なんで新入社員ごときにそんなことまでしなければならないんだ,と思いますか?そんなことやってられないと思いますか?

それならそれで構いません。私はあくまで,『当該新入社員に自ら行動を変えてもらいたい』と強く思うのであれば,上記のようなステップを踏むことが結局は最も効果的だとお伝えしているにすぎません。

以前にも触れたことがありますが,これは費用対効果の問題です。

そこまでの労力をかけてまで,新人教育をしようとは思わない,割に合わないということであれば,それはそれで1つの判断です。良い・悪いはありません。

但し,永続する企業は,すべからく「人」の成長が伴っています。社員が成長していけば,自然と会社も成長しますし,経営者のワンマン組織でもなくなっていくので,より安定性が増していきます。

そのような企業を目指しているのであれば,効果性の高い育成・指導はとても重要なマネジメントの1つといえるでしょう。

さて,あなたが目指すのは,人が成長することにより,安定性の高い,太い組織として成長していく企業でしょうか。それとも,経営者や一部のスタープレイヤーだけが輝いて,その他大勢を強引に引っ張っていく企業でしょうか。