阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 07.24

グループとチームの違い

皆さんは,グループとチーム,2つの似て非なる言葉を使い分けていますか。

グループというのは,日本語直訳では,「群れ」とか「集まり」といった言葉に訳されます。

これに対し,チームは,競技,仕事など何らかの共通項を持った集団を表しています。

どちらも複数の人間によって構成される集団を表す言葉ですが,両者には大きな違いがあります。

それは,「共通の目的・目標の有無」という違いです。

グループは,単に複数の人間が集まっているだけの状態であり,そこには共通の目的・目標は存在しません。

もちろん,旅に一緒に行くとか,一緒に遊ぶとか,一緒に食事をする等のように,同じ行動をすることで楽しい時間を共有するということはあるでしょう。

しかしながら,それは共通の目的・目標によって行動しているわけではなく,それぞれの短期的な楽しみの欲求充足や,リフレッシュといったところに主眼があります。

これに対して,チームは,「〇〇チーム」という使われ方の具体例を見れば,共通の目的・目標が存在していることは明らかです。

例えば,プロ野球チーム,プロサッカーチーム等,プロスポーツのチーム競技においては,必ずチームという言葉を使いますよね。

あるいは,ビジネスでいえば,プロジェクトチームなどという言葉はよく耳にするところです。

確かに,プロスポーツチームは,試合に勝利し,ひいてはリーグ優勝などを果たすことで,ファンの方々に喜んでもらうという共通の目的を持ち,監督や選手たちは日々の練習及び試合に励んでいます。

また,プロジェクトチームの場合は,新事業や新製品を企画し,計画を立て,ひいてはこれを商業化することを,メンバーの共通の目的にしています。


さて,ここで質問です。

あなたの所属している会社や,諸団体等においては,組織全体が1つのチームとなっていますか?

また,規模の大きな会社であれば,あなたの所属する部署や部門における各小集団は,それぞれチームとなっていますか。


もう少し具体的な形でもう1度お聞きしますね。

あなたの所属する会社組織や部署・部門組織には,全社員あるいは全メンバーに共通の目的・目標(もしくはミッションステートメント)はありますか。

かの有名な一流ホテルのザ・リッツカールトンでは,会社全体はもちろん各ホテルごと,そしてそのホテル内における部門ごとに,構成する社員全員が話し合って策定したクレド(=ミッションステートメント)を常に持ち歩き,そのクレドを守って仕事をすることを,全ての社員が誇りに思っているそうです。

いきなりこのレベルに達することは容易ではないでしょうが,構成員全員で1つの共通目的・目標(ミッションステートメント)を策定すると,それぞれが,組織の発展(によって最終的に自分が幸福になること)のために,自分はどのような役割を果たすべきかということが明確になり,明らかに生産性が向上します。

ちょっと小難しい言い方をしてしまいましたが,会社を成長させていくにあたり,どんな会社にしていきたいのか(ミッションやビジョン),そのビジョンに至ることによって,個々人にどのような意味があるのかといったことについて,きちんと従業員の考えを聞いてこれを取り入れようとする社長と,従業員は会社のミッション・ビジョンなんて考える必要はないので,とにかく言われたことをやっていればいいという姿勢の社長,あなたが従業員だったらどちらについていきたいと思うか,ということです。

従業員がついてこないとか,やる気を持ってくれないという悩みをお持ちの方は,ぜひ,以上の点について従業員の方と改めて一緒に考えてみてくださいね!