概要
問題社員に対して,(解雇するとトラブルになると思って)自主退職したくなるように冷徹な対応を重ねていたところ,実際に自主退職してくれてホッとしていたら,退職から数か月後に,数百万円単位の未払残業代を請求され,法的紛争に発展した。
事前対策例
・そもそも当該社員の雇用契約終了という方法しか本当に問題解決の方法がないかどうかを多角的に検討する(温情という観点ではなく,「敵」をつくらないためのリスク対策として)。
※このようなケースでは,経営者も社員も,お互いに相手のことが嫌いという状況に陥っていることがほとんどですが,このような「嫌い」という感情に基づいて対応することは,本来,合理的な経営判断とはいえません。そのような感情を一旦横に置いて,(「敵」をつくるリスクを踏まえながら)客観的に当該社員の取扱いを検討する必要があります。
・仮に雇用契約の終了という方法しか解決の道筋が見えないとしても,「(当該社員が)当社で働き続けることはお互いにとってWin-Winではない」ということを,相手の人格を尊重しながら伝えていく道筋を立てる。
※「あなたは問題のある人間(無能な人間,使えない人間)だから,辞めてもらうしかない。」というようなメッセージを伝えれば,当該社員は恨みをもち,「敵」となります。相手の問題点を明示して否定するのではなく,『関係を維持することは双方にとって明るい未来につながりにくい』という要素を前面に出していくことが,「敵」をつくらないリスクヘッジ対策になります。