北海道札幌市の法律・交通事故をメインとした法務、企業のコンプライアンス・業務効率化をサポート

お知らせ / ブログ [ Information & Blog Single ]

20175.23

聴く耳をもってもらう~効果的なアドバイスのために~

皆さんは,ビジネスにおいてもプライベートにおいても,他者に対して良かれと思ってアドバイスや助言をしたり,あるいは,(相手から嫌われてしまうリスクを承知しつつ)あえて苦言を呈したりしたのに,全然聞き入れてもらえなかったというご経験はありませんか?

もしくは,その場では一応聞いてはもらえたけど,その後全く行動が改善される様子が見受けられないといったご経験をされたことはありませんか?

私は何度もあります(苦笑)。


こんなときは,つい,

「せっかくこっちが助言してあげてるのに,全然聞いてくれないなんてひどい!」

とか,

「せっかくアドバイスして,『うんうん』と聞いていたのに,なんで実行しないんだろう?」

というように思ってしまいますよね。

それはそれで人間なのでまったくもって無理からぬことではあります。

ですが,実はこのような結果になっているのは,アドバイスを言っている側にも大いに原因があります。

それは,アドバイスを言う前に,相手に「聴く耳をもってもらう」という状態を作っていないということです。


世の中には,個人の人間性や人間関係を豊かなものにするためのたくさんの名言や,有益な情報が実にたくさんありますよね。

そして,現代では,インターネットの発達により,それらの情報はほとんどお金や時間をかけずに収集することも可能になっています。

ですが,実際にそういった有益な情報を集めて,自分の人生や人間関係の形成に活かしている人はごく少数です。

これはどうしてなのでしょうか?

簡単なことです。

自ら意識していないからです。

自ら求めていないから,と言い換えることもできます。

「そういう情報をもっと知って,自分の人生に活かそう」という考えや気持ちを持っていないということですね。

人間は,例え五感によって情報に触れていても,意識していなければその情報に全く気付かないことが珍しくない生き物です。


例えば,こんな著名な実験があります。

知らない方もいらっしゃるかと思いますので,もし時間がある方は,実際にやってみていただければと思います。

以下のリンク先の映像をご覧いただき,白いシャツのチームがパスを何回するか数えてみてください(映像は1分ちょっとで終わります)。

https://www.youtube.com/watch?v=vJG698U2Mvo






















実際にご覧いただいた方,いかがでしたか?

映像の途中で,ゴリラの着ぐるみを来た人がゆっくりと間を通過し,カメラに向かって胸を叩く動作もしているのですが,気づかれたでしょうか?

ちなみに,事前情報等を与えずに,適切な環境でこの実験を行った場合,約半数の人がゴリラの存在に気づかない上,もう一度ゆっくりと映像を見せても,「ゴリラなんて映っているはずがない。映像をすり替えられた」と言い出す人までいるそうです。

バスケットボールをしている若者たちの間をゴリラがゆっくり通過して,カメラに向かって胸を叩く動作までやっても全然気づかないどころか,人によっては映像の細工まで疑ってしまう。

それくらい,人間というのは,意識によってものの見え方・聞こえ方・捉え方が大きく変わり得るということです。


他にも,例えば,街を歩いている時に,『青色のもの』という意識を持って周りを見ながら歩いた時は,普段同じところを何度も歩いていても気づかない青色の様々なものに気づきます。

これは一部の例外を除いて,誰しも当てはまる原則です。


このように,人間は,同じ情報に触れていても,意識によって気づくことが大きく変わってしまうという原則があります。

この原則を踏まえた場合,人に自分が提供する情報を活かしてもらうためには,どのような手順が必要になると思いますか?

その手順こそが,「聴く耳をもってもらう」ということです。

く耳をもっている」という状態は,相手の話に興味・関心を持ち,どんなことを言ってもらえるのか,それはどのように活かせるのかということに注意を向けている状態です。

このような状態でなければ,どんなに良いことを言っても,効果のほどはたかが知れています。


では,相手はどうすれば聴く耳を持ってくれるのでしょうか?

これは,皆さん自身が,どんな時に他者からのアドバイスや助言,あるいは忠告に対して「聴く耳をもつ」状態になっているかを想像してもらうことがまず第一です。

例えば,自分が尊敬する先輩や上司,あるいは著名人等から,「あなたがもっと成果を出すために大事なことを伝えたい」と言われたら,成果を出すことに興味がない人以外は,ほとんどの方が聴く耳をもちますよね。

これは,①そのような先輩や上司等に対する信頼感(あるいは説得力)と,②もっと成果を出したいという願望の2つがキーポイントとなり,聴く耳を持つ状態になっているわけです。

つまり,相手に聴く耳を持ってもらうための重要ポイントは,

①こちらに対する一定の信頼感

②こちらの提供する情報が相手の願望成就につながること

の2つとなるわけです。


例えば,弁護士のところにご相談にいらっしゃる方は,基本的に,弁護士のアドバイスに対して聴く耳をもってくださいます。

それは,

①弁護士という専門資格を有する人間に対する信頼感

②弁護士が提供する情報が,相談者が現在抱えている問題の解決という願望成就につながること

という2つの要素を満たしているからこそ,聴く耳をもってくださっているわけですね。

逆に言えば,いくら弁護士の言うことであっても,②自分の願望成就に関係のない話であれば,聴く耳を持つ人はいません。

あるいは,(自戒をこめたお話ですが)約束を破ったり,クライアントに大きな迷惑をかけるような行動をとってしまえば,弁護士という肩書があっても,その弁護士個人の人格(人間性)に対する不信感が増大していまい,①信頼感がなくなって聴く耳を持てなくなるということもありうるでしょう。

いくら肩書があっても,人格が伴っていなければ,最終的には人からの信頼は増大しないどころか,失われていきますからね。


今,特定の他者に対して自分のメッセージやアドバイスに聴く耳を持ってほしいのに,なかなか聴く耳をもってもらえないという方は,その原因が,①相手のこちらに対する信頼感の不足にあるのか,②こちらの伝えたいメッセージが相手の願望成就につながっていない(つながっていることに気づいてもらえない)のか,あるいはその両方なのかをまず考えてみてください。

①が不足している場合は,まずは相手の信頼口座への預入れをせっせと行いましょう(「信頼口座」についてはこちらをご参照ください。)。

例えば,

・相手を理解すること
・小さなことを気遣うこと
・約束を守ること(できない約束をしないこと)
・期待を明確にすること(相手に何を求めているのか明確にすること)
・誠実さを示すこと(「誠実」=自分の言葉に現実(行動)を合わせること)
・こちらに少しでも至らないところがあればすぐにそのことを謝ること

等が,代表的な信頼口座の預入行為です。


②が問題になっている場合には,まず,あなたの伝えたいことが,その人の願望成就につながるのかどうかをもう一度よく考えてみましょう。

答えが出ない場合もあります。それは,相手の願望がよくわからないときです。

その場合は,まず相手の願望を知ることが先決です。

ただし,いきなり「あなたの願望って何?」と聞いても面喰う人がほとんどですから,どんなことを大切にしているか,どんなことに価値を感じて時間やお金を投じているかということをまずは聞くようにしましょう。

そういった情報を集めた上で,だんだんと,その人が人生においてどんなことに幸せを感じるか,どんな人生を求めているかが見えてきます。

そこまでくれば,あとはこちらの助言内容が,相手の願望成就の効果性を高めるヒントになるということに気づいてもらうことに集中すればOKです。


①についての対策も,②についての対策も,一朝一夕でどうにかなるものではありません。

長期的スパンで取り組んでいく必要があります。

ですから,そのようにあなたが長期的にエネルギーや時間を投資する価値があることなのかどうかを考えることも重要です。

ただ,アドバイスや助言に対して聴く耳をもってもらいたいという場面の多くは,家庭における夫婦間や親子間,あるいは職場における上司と部下,部活動やスポーツチームにおけるコーチと選手,あるいはチームメイト間など,自分自身の目的達成において欠かせない人間関係だと思います。

そのような関係にある他者であれば,原則として,長期的にエネルギーや時間を投資する価値はあるでしょう。


ぜひ,意識してみてくださいね!