阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2017 05.16

皆さんは,他者の言葉や態度を,つい否定的に見てしまうという習慣や,そのような実体験はありませんか?


例えば,以下のように,相手の言動に対して否定的な印象や感覚を覚えたことはありませんか?

・挨拶をしたのに返してもらえなかった ⇒ 愛想のない失礼な人である,常識感覚のないおかしな人である,冷たい人である

・相手が喜んでくれそうなことをしたのにお礼を言ってもらえなかった ⇒ 相手は自分のことが嫌いである,礼儀をわきまえていない非常識な人である

・誠実に謝っているのに許してもらえない ⇒ 心が狭い人である,意地悪な人である

・自分の願望に対して否定的な意見を言ってくる ⇒ 自分のことを理解してくれていない人である,応援しようという気持ちのないひどい人である

・(求めていないのに)自分のすることに対してあれこれ口を出してくる ⇒ うるさい,不快である

私はほとんど感じたことがあることばかりです(^_^;)


では,いずれか当てはまるものがあった方にさらにお聞きしますね。

そのような印象を持って以降,その人との人間関係は良くなりましたか,それとも悪くなりましたか?

おそらく,「良くなった」という人は一人もいないのではないかと思います。

(※もちろん,その後に関係が良好になるようなきっかけが別にあったという場合は除きます)

そうですよね。

上記のようなことがあった場合,人間関係が悪化するという方がほとんどだと思います。

そして,そのような結果について,きっと皆さんはこう思うはずです。

『相手がこちらに対して失礼な言動や,配慮に欠けるような行動をしてきているのだから,(相手が悪い以上)仕方ないことではないか』と。


確かに,上記の例のような言動は,多くの場合,人に不快感情や精神的ショックを与えるような言動であるといえますから,ついついそのように考えてしまうことは全くもって無理からぬことではあります。


でもね。


不快感情や精神的ショックを生み出したり,あるいは大きくしているのは,本当は(不快な言動をした)相手ではなく自分自身であることに,皆さん気づいていらっしゃいますか?

ある物事について,不快と感じるかそうでないかは,人によって違いますよね。

例えば,もっとふくよかな体になりたいと思っている人に,「痩せているね」と言ったら,あまりいい気持ちはしないでしょう。

これに対して,スリムな肉体が理想的と思っている人に,「痩せているね」と言ったら,おそらく良い気分になりますよね。

言葉は全く同じです。

それなのに,受ける印象は180度違うわけです。

これはどうしてでしょうか?

一言でいえる簡単なことです。

「考え方,捉え方の問題」

ただそれだけです。


さて,このような考え方や捉え方というのは,自分でコントロールして変えられるものでしょうか?

そうです。変えられますよね。

ということは,他者がどんな言動をしようが,その言動を受けて不快になるかならないかは,自分自身でいかようにもコントロールできるということです。


例えば,今の私だったら,先ほどの例を以下のように解釈します。


・挨拶をしたのに返してもらえなかった ⇒ こちらの挨拶が聞こえないくらい考え事に集中していたのかも。あるいは,恥ずかしがり屋で返事が出てこなかっただけかも(笑)。

・相手が喜んでくれそうなことをしたのにお礼を言ってもらえなかった ⇒ 自分としては喜んでもらえると思っていたけど,実はそうでもなかったのかも。相手のことがちゃんと理解できていなかったのかも。照れ屋でなかなか素直にお礼が言えないタイプなのかも(笑)。

・誠実に謝っているのに許してもらえない ⇒ それくらい相手のことを傷つけてしまったということだから,とにかく信頼回復のためにできることをこれから頑張ろう。

・自分の願望に対して否定的な意見を言ってくる ⇒ 私のことを心配してくれているのかも。あるいは,自分の願望を素直に追い求める私を羨ましく思うと同時に,そうできていない自分が情けなくて,否定的な意見の1つも言わないと自分が保てないのかも。

・(求めていないのに)自分のすることに対してあれこれ口を出してくる ⇒ 私にもっと良くなってほしいと思ってくれているんだな。


これは単なる経験則ですが,日本人は相手の言動を否定的に捉えがちな傾向が強いように感じます。

ですが,あえて自分自身が不快になるような解釈を進んで自らする必要はどこにもないですよね。

だったら,どんな言動であっても肯定的に解釈した方が,人生も楽しくなるし,相手との人間関係も不必要に悪くならなくてすむと思いませんか?


それに,このような習慣が身に着くと,単に自分自身が不快になることが少なくなるということ以外にもすごく良い効果があります。

それは,他者から信頼されたり,好印象を持たれやすくなるということです。


なぜか。


これも簡単なことです。

他者を悪く言うことがなくなっていくからです。


人は,他人が誰かの悪口を言っていると,『もしかしたら,自分の知らないところでは自分も悪口を言われているのではないか。』と考えてしまう傾向があります。

ということは,他人の悪口を頻繁に言う人は,それだけ,周りの人から不信感を持たれやすいリスクを自ら増大しているということになりますよね。

その逆に,他人の悪口を言わない人は,誠実であるとか,公正であるといった,誰しもが肯定的な印象を持つ人格的要素を備えているという印象を持たれやすくなるわけです。


皆さんがあるチームのメンバーだったとして,


・やたらとその場にいないメンバーの言動について否定的な言葉(=悪口)を言うリーダー

・誰かが否定的な言葉を言っても,『●●さんにもこんな事情があったのではないか。』というように,常に他者の言動を肯定的に捉えて,メンバーを勇気づけてくれるリーダー


どちらの方が,ついていきたいと思いますか?

答えは明らかですよね。


もちろん,このような習慣を身に着けるのは一朝一夕では難しいですが,少しでも意識するだけで,間違いなく今までより色々なことが好転します。


他者の言動を肯定的に解釈する習慣,ぜひ意識してみてくださいね!!