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20174.18

影響のピラミッドの原則

よく言われていることですが,同じアドバイスでも,誰に言われるかによって受入れ方は大きく変わりますよね。

“何を言うかよりも,誰が言うかが重要である”

などと言う格言のようなものも存在しているといえるほどです。

実際,これは世の中のほとんど全ての人に当てはまる原則だと思います。

今この投稿を読んでくださっている皆様の中でも,単なる知人に言われるのと,自分が尊敬する著名人等に言われるのとでは,受け止め方は変わるだろうという方が大半ではないでしょうか。


では,なぜこのような原則が成り立っているのでしょうか。

スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣 原則中心リーダーシップ」の中に,その答えがありました。

それが,「影響のピラミッド」という考え方です(同書179頁)。


コヴィー博士は,他者に対する影響力を与える形態は基本的に以下の三つに分けられるといいます。

① 自分から模範を示す(見せる)

② お互いを思いやる人間関係を築く(感じさせる)

③ 導く(聞かせる

そして,上記の3つは,①が一番下,②がその次の段,③が一番上という形で,影響のピラミッドという図式として考えられることを図によって示してくれています。

つまり,他者に対する影響力を強めるためには,まず基本的な土台として「①模範になる」ことが必要であり,次に「②人間関係の構築」によって信頼関係を高めることが必要であり,そこまでたどり着いた段階で初めて具体的に「③導く(聞かせる)」という順番が,最も効果的であるということです。

自分が尊敬する著名人等は,その功績によって自分にとってある種の①模範になっており,かつ,その功績等によって大きな信頼感を持っているので,②人間関係もできあがっているわけです。

だからこそ,会ったこともないのにコヴィー博士の③導きによって大きな影響をたくさん受けたりするわけですね(※私の例です)。


以前の投稿で,糖分の摂りすぎで病気になってしまった子供に糖分の摂取をやめさせるために,ガンジーがわざわざ自分も15日間糖分の摂取をやめてからアドバイスをしたというお話をしました(2017年3月24日付投稿「影響力を持つために大事なこと」参照)

このケースの場合,ガンジーはインドの英雄として既に子供から崇拝に近い尊敬を得ている存在ですから,「②人間関係の構築」ができている状況でした。

そうであれば,あえて「①模範になる」というところから始めなくても,子供はガンジーの「③聞かせる」という行為を素直に受け入れた可能性は高いと思われます。

でも,どうですか皆さん。

実際にガンジー自ら模範になった上で糖分の摂取をやめるようにアドバイスした場合と,そうでない場合。

より子供が感銘を受け,自分の行動を変えようと決意しやすいのはどちらだと思いますか。

間違いなく前者ですよね。

さすがはガンジーです。他者に影響を与えるための効果的な原則をよくよく理解していらっしゃったわけですね。

このように,「影響のピラミッド」は,他者に影響を与えるにあたって非常に効果性の高い原則といえるわけです。


さて,当然ながら,ガンジーのエピソードのような伝説的英雄譚でなくとも,皆さんの実生活においても「影響のピラミッド」は,皆さんの人生をより豊かにしていくために大きな効果性を有しています。

例えば仕事で考えてみましょう。

部下がいまいち自分についてきてくれている感じがしないとお嘆きの経営者,マネージャーの方は,まず,ご自身が部下の「①模範」となれているかを考えてみてください。

上司が率先して定時退勤をするようにしなければ,部下は自分たちも定時退勤を励行しようとはなかなか思えません。

上司が率先して有給休暇を取得するようにしなければ,部下は有給を取ることに気まずさを感じるでしょう。

もちろん,経営者の方の場合,夜の会合等も多く,常に従業員の方と似たような勤務サイクルをとるというのは難しいということもあるでしょうから,全ての事柄において模範になるというのは現実的ではないでしょう。

でも,それでいいのです。

重要なことは,そのような姿勢を見せることです。

定時退勤や有給の取得をぜひ実践してほしいと心から願っていることが伝わるような姿勢を見せるということですね。

「①模範になる」というのは,まさにそのような,個人の信念が見えてくるような人格的姿勢を見せること,と言い換えることもできるでしょう。


このような姿勢を見せるとどうなると思いますか。

自分が部下の立場に立った場合を想像していただければ自ずとご理解いただけるのではないでしょうか。

そう,上司に対する尊敬の心や感謝の心が湧いてきますよね。

このような下地ができれば,「②人間関係を構築する」準備が整ったといえます。

模範になることだけで既に影響を受ける部下もいますが,そのような人は少数であり,実際のところは個々人それぞれに様々な事情や背景があって,なかなかこちらが期待するような行動選択をとれない部下の方が多いのが一般的です。

そのような部下に対しては,相手の心のブレーキになっている原因を取り除いてあげるために,相手としっかりとした人間関係を築き,相手の話を真摯に聴く必要があります。

これが,「②人間関係を構築する」というステップです。

上司の背中を見ていても,「自分はあんな風にはできないな・・・」というような考えに囚われてなかなか行動に移れない人に対して,このように個別に手を差し伸べることは非常に効果的です。


さて,このように個別的なアプローチをとるなどして,相手との人間関係構築に成功した段階で,ようやく「③導く(聞かせる)」という最終段階へと進みます。

ガンジーの例のようなシンプルな事柄でいえば,一言で済むこともあるでしょう。

しかし,大抵はそんなシンプルな話で片付きませんよね。

だからこそ,第三段階は単に「聞かせる」とか「助言する」ということだけではなく,「導く」という言い方をしているのです。

相手に応じて,効果的な導き方は様々です。

「定時退勤の徹底」という例でいえば,定時で上がれるように生産性を高めるにはどうしたらよいのかを一緒に考えるという方法があるかもしれません。

あるいは,家族関係がうまくいっていないので,定時で帰っても居心地が悪いというような悩みを持っているのであれば,家族関係の改善という方向性に導いてあげる必要があるかもしれません。

仕事に集中するとつい時間を忘れてしまうとか,その日着手した仕事を終わらせないと気が済まない性質であるというような人である場合には,タイムマネジメントや仕事の計画について考えてみる必要があるかもしれません。


いずれにしても,大切なことは,単に一方的な助言を聞かせるということではなく,必要な行動を選択する習慣を身に着けることができる方法を一緒に考えるということです。

とかく,経営者やマネージャーは,全てを自分1人で考えようとしがちですが,それは全く効果的ではありません。

部下自身が自発的に行動選択できるかどうかの問題なのですから,まずは部下本人が自分自身で考えることが肝要です。

ただ,部下は(知識,経験,人格的修養等の不足から)自分だけで考えていてもなかなか良い方法を思いつくことができなかったり,くじけたりしてしまうことが多いのです。

そこで,上司が一緒に考えるという形で「導く」ことによって,背中を押してもらえるわけですね。



影響のピラミッドの原則はものすごく奥が深い概念で,幅広く実生活に応用することができます。

皆さんにとっても有益な情報になるのではないかと思いますので,今後も様々な具体例を通して,影響のピラミッドの実践について掘り下げていきますね(^^)