阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2017 03.31

「原則」って何なの?

本年1月から,毎月,私が信奉しているスティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」について,ご興味を持ってくださった方々と勉強会をしています。

この勉強会を進めていく中で,皆さんからもよく出される疑問点であり,私自身もファシリテーションしていて『ここは伝えるのが簡単ではないなぁ』と感じるのが,「原則」とは何なのかという点です。

そこで,今日の投稿では,改めて「原則」というものは何なのか,どのように理解すればよいのかということを考えていきたいと思います。


「原則」を辞書で引くと,このような定義が載っていました。

「人間の社会的活動の中で多くの場合にあてはまる基本的な規則や法則」

確かに,辞書的な定義としてはこんな感じになるのだと思います。

ちなみに,「法則」を辞書で引くと,「一定の条件下で,事物の間に成立する普遍的,必然的関係。また,それを言い表したもの」と載っていました。

う~ん,まあなんとなくはわかる気もしますが,消化不良を起こしそうな感じですね(^_^;)


私は「原則」について,

「一定の因が発生することにより,(ほぼ)必ず一定の結果が生じるという法(ルール)」

という定義づけをしています。


具体的に考えてみましょう。

例えば,他者との約束を破ったら,その人からのこちらに対する信頼は増加するでしょうか,減少するでしょうか?

間違いなく減少しますよね。

「約束を破ったら(=原因),他者からの信頼が減少する(=結果)」

これは,どんな国の人であっても,どんな時代であっても,変わらずに当てはまる法則(ルール)ではないでしょうか。

そうだとすれば,「約束を破ったら,他者からの信頼が減少する」というのは,「原則」の1つであるといえそうです。


他の例でも考えてみましょう。

例えば,あなたが国民的人気漫画「ワンピース」の熱狂的ファンであったとします。

そんなあなたは,ある時,AさんとBさんという2人の人と知り合い,話をする機会がありました。

Aさんは,たまたまあなたがワンピース好きだという話が出た時に,どのキャラクターが好きなのか,ワンピースの魅力は何か等,様々なことに誠実に興味・関心を寄せてくれて,あなたは大いにワンピースの話で盛り上がることができました。

他方,Bさんは,あなたがワンピース好きだという話が出た時に,「へ~,そうなんですね~。」という反応をしたのみで,その後特にワンピースネタで話が盛り上がることはありませんでした。

さて,上記のAさんとBさんのうち,あなたがより好意を抱くのはどちらでしょうか?

おそらく,誰しもがAさんを選ぶのではないでしょうか。

そりゃそうですよね。

誰だって,自分が好きなことに対して興味を持ってくれて,色々と話が盛り上がる相手の方が,話していて楽しいし,好意を持ちますよね。


名著「人を動かす」において,著者デール・カーネギーは,「人に好かれる六原則」の1つとして,「誠実な関心を寄せる」という項目を挙げています。

つまり,「相手(の関心事)に誠実な関心を寄せることで(=原因),相手は自分に対して好感を持ってくれる(=結果)」という法則が存在すると,デール・カーネギーは説いているのです。

これも,おそらくどんな国の人であっても,どんな時代であっても,およそ人であれば当てはまる法則(ルール)といえるのではないでしょうか。


このように,一定の原因に対して一定の結果が生じるという関係性が成り立つ法則こそが,「原則」ということになります。

名著と呼ばれ,何年も前から変わらず読み続けられている本は,すべからくこの「原則」について解説しているという共通点があります。

例えば以下のような書籍が代表的なものとして挙げられるでしょう。


ナポレオン・ヒル著「思考は現実化する」

スティーブン・R・コヴィー著「7つの習慣」他多数

デール・カーネギー著「人を動かす」,「道は開ける」

P・F・ドラッカー著「マネジメント」他多数

松下幸之助著「道をひらく」,「素直な心になるために」他多数

「論語」(孔子とその弟子による問答集)


普段の日常生活ではあまり意識することがありませんが,実は世の中にはこのような「原則」が実にたくさん存在します。


さて,このような「原則」ですが,これを知り,活用することには想像以上のメリットがあります。

というのも,私たちは誰しも,自分の幸せを求めて「こうしたい,ああしたい」とか,「こうなりたい,ああなりたい」という願望を持っていますよね。

このような,人それぞれが求める自分の理想像や,願望を成就している状態という「結果」(あるいは「成果」)を得るために効果的な「原則」が世の中には間違いなく存在します


例えば,あなたが「Cさんと仲良くなりたい。」という願望を持ったとします。

その時には,上記のデール・カーネギーが伝える「原則」を活用すればよいのです。

Cさんが関心を持っていること,大切にしていることを話してもらい,その点について誠実に関心を寄せていくことで,現時点よりも間違いなくCさんとの関係はよくなります。

(※ちなみに,「誠実に」というところがかなりキーポイントです。関心を寄せているフリだけでは,同じような効果は期待できません。)


私は,このような「原則」を人生のあらゆる場面でフル活用しています。

仕事であれば,クライアントとの信頼関係を築くことや,交渉相手にこちらの意向を受け入れてもらうという「結果」を得るために効果的な「原則」を活用します。

例えば,「人は自分が聴いてほしいと思っている主張や思いを真剣に聴いてくれる相手に対して信頼感を持つ」という原則があります。

そこで私は,クライアントとお話しする際に,ご相談を決意された動機や,現在困っていること,あるいは真に求めている結果は何かということを深く聴くようにしています。

また,交渉の場面で言えば,「人は自分の立場や状況に理解を示し配慮してくれる相手の言葉の方が聞く耳を持つ」という原則があります。

そこで私は,交渉相手に対してこちらの要求や主張を伝えるに際しても,一方的にこちらの正当性ばかりを主張するのではなく,まずは相手側の立場であれば言いたいと思うであろうポイントや,相手の状況等に対する理解を示した上で,こちら側の主張を述べるようにしています。

もちろん,それでも様々な事情により交渉が希望どおりに進まないこともありますが,原則を活用したことが効果的に機能したと実感できる成功体験をたくさんしています。


このように,人生において「原則」を基軸として行動を選択することは,自分が望んだ結果を得るために非常に効果的です。


今後もブログやFacebook,あるいはセミナー・勉強会等を通じてたくさんの「原則」やその活用方法について皆さんに発信させていただきますので,ぜひ皆さんも実生活において「原則」を意識的に活用してみてくださいね!