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20171.31

信頼関係の薄い相手に納得してもらう方法②

前回に引き続き,信頼関係の薄い相手に納得してもらう方法に関するお話です。

前回は,概要以下のようなお話をしました。

・信頼関係の薄い相手に納得してもらうための第1ステップは徹底した傾聴である。

・人は,元々信頼関係が厚い人(=人間関係が近い人)であればあるほど,信頼関係が希薄になってしまった後も相手に甘えてしまい,傾聴することができない傾向がある。

・「相手に甘える」とは,こちらが努力せずとも相手がこちらのために考えや行動を変えてくれることを期待してしまう,ということを意味する。

しかし,本当は,元々の信頼関係が厚い人ほど,その関係が希薄になってしまった際には,本シリーズでお伝えするステップが重要になります。

例えば,夫婦間で考えてみましょう。

本来的には,配偶者といえば,気心が知れており,お互いに最も信頼関係の厚い相手の1人であるはずです。

ところが,夫婦関係においては,配偶者の言葉に対して徹底した傾聴を行える人は少ないと言わざるを得ません。

その結果,互いに(あるいはどちらかが一方的に)自分の言いたいことだけを相手に伝え,それに対して互いに(もしくはどちらかが)不満を持ち,段々と関係性が悪くなっていくというケースが少なくありません。

(※なお,夫婦の一方だけが言いたいことを言って,他方はそれを我慢したり,表向きは従順に聞いたようなふりをしている状況の場合,言いたいことを言っていた側にとって離婚話は「寝耳に水」となることもよくあります。)

そうして,究極的には,不満が募るだけの相手とこれ以上一緒にいても自分は幸せになれないと考え,どちらか,あるいは双方が「離婚」という選択肢を考えるようになっていきます。

ちなみに,こんな風にして離婚に至る場合に,離婚原因はどんな言葉でくくられるかわかりますか?

ほとんどの場合,「性格の不一致」です。

「性格の不一致」て,考えてみたら変な言葉ですよね。

人の性格は千差万別で,この世に二人と同じ人なんていないわけですから,夫婦間で性格が一致しないことなんて至極当然です。

むしろ一致してたらとんでもないことです。

それなのに,「性格の不一致」を離婚原因として捉えるのは,問題の核心からずれていると言わざるを得ません。

私としては,上記のようなケースは「性格の不一致」ではなく,「傾聴の不足」,「尊重の不足」,「意見交換の不足」などといった言葉の方がより的確ではないかと個人的に思っています。

要は,人間関係を破壊する行動習慣ばかりを用いてしまい,人間関係を良好にする行動習慣を用いることができていない状態になってしまっているということですね。

(※人間関係を破壊する行動習慣と,良好にする行動習慣についてはこちらをご参照ください。)


だいぶ脱線が長くなってしまいましたが,本論に戻ります。

なぜ,夫婦のようなごく近い人間関係の相手に納得してもらう場合こそ,きちんとしたステップが重要になるのでしょうか。

それは,なまじ元々の人間関係が厚い分,それが希薄になっている状況の場合,相手がこちらに向けて形成している「不信のバリア」が強いからです。

皆さんもご経験ありませんか?

家族や恋人など,ごく近しい人が自分の考えを理解してくれていないと状態が続いていると感じた時,『なんで家族なのに(恋人なのに)私の気持ちや立場をわかってくれないんだろう。』という気持ちになって,相手の人格に対して不信感を抱いてしまい,相手とのコミュニケーションに難を感じるようになった,というようなことを。

人には,近しい関係であればあるほど,その相手に不信感を抱いてしまった時の衝撃や,精神的動揺が大きくなるという原則があります

そのため,近しい人間関係の相手との信頼関係が希薄になってしまっている場合には,こちらの言葉を表面で跳ね返す不信のバリアを解除してもらうために,より慎重かつ丁寧に相手にアプローチしていく必要があるのです。

不信のバリアが張られたままでは,いくらこちらの言葉が相手にとっても有益なこと(聞く意味があること)だったとしても,そのような言葉の本質的意義を理解する間もなく,こちらからの一方的な言葉というだけで不信のバリアによって跳ね返されてしまい,相手の心にはまったく届きません。

これは,逆の立場を想像してみれば,かなり具体的にイメージできると思います。

想像してみてください。

今までこちらの言葉を全然まともに聞いてくれない状態にあった家族から,一方的に「あなたは~~すべきだ。」,「~~するのが正しい。」等という言葉をぶつけられたとして,あなたはその言葉をご自身で慎重に吟味し,納得がいけばその言葉どおりに行動しようという気になりますか?

かなり難しいのではないでしょうか。

そういうことなのです。

ところが,多くの人は,そのような,相手が現在どのくらい自分に対して不信のバリアを形成しているか,ということなど考えもせず,ただ単に,自分が伝えようとしている内容は正しいという価値観だけを基軸にして,相手にそれを伝えようとします

そして,それに対して相手が聞く耳をもとうとしなかったら,

「あいつのためを思って言っているのに,なんで理解しようとしないんだ。」

とか,

「こっちの言っていることは間違ってないのに,まともに聞こうともしないなんて,どうかしてるんじゃないのか。」

などと,自分の言葉を理解しようとしない相手が悪い,という判断をします。

あとはひたすらに悪循環です。

お互いに上記のような不信感を相手に対して増大させて,やがては関係が修復不可能になっていきます。

そうならないためにも,相手がこちらの言葉を受け止める気持ちになるようなアプローチが重要になるということです。

このようなお話をすると,「なんで勝手に不信のバリアを張っている相手にそこまで気を使わなければならないのか。」と思う方もいるかもしれません。

でもね,「不信のバリア」を相手が形成していることについては,必ずこちら側に一定の原因があります。これは原則です。

言葉を選ばずに言ってしまえば,相手が不信のバリアを形成しているということは,バリアを張りたくなるような(信頼を喪失する)行動をあなたが重ねてきたということの証左なのです

そのような自分を省みる気がないという方や,家族に対してそこまで気を配る必要性を感じないという方は,次回はお読みいただく必要はないと思います。

次回は,信頼関係の薄い相手に納得してもらうための,傾聴から始まる具体的ステップの残りについてお話ししていきます。