阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 11.15

賢人に学ぶ人格の磨き方

私は,人が幸せな人生を送る上で,人格を磨くことは必要不可欠なことだと考えています。

「人格」という言葉は,様々な意味・解釈で用いられる言葉ですが,私は主に,「人としての在り方」,「人としての品格」といった意味で用いています。

充実したプライベート生活を送ろうと思った時に,家族や気の置けない仲間は本当に大切な存在ですが,そういった身近な人たちと良好な関係を築き,維持していくためには,周りの人たちに安心感や信頼感を持ってもらえる人物でなければなりません。それまでどんなに距離が近かった人でも,こちらの人格に惹かれる要素がなくなってしまえば,だんだんと離れていってしまうことは間違いありません。

また,ビジネスにおいても,成功と人格は切っても切り離せない関係にあります。

過去に事業に成功して一財産を築いた成功者たちに,「成功に最も重要な要素を1つだけ挙げるとしたら何か。」という趣旨のアンケートが行われた際,1位だったのは「誠実であること」でした。

この結果からも,成功と人格の強い関連性が見て取れることと思います。

そんな「人格を磨く」という私の重要な人生テーマにおいて,イエローハット創業者で現相談役の鍵山秀三郎さんの「掃除道」との出会いは衝撃的でした。

鍵山さんは,イエローハットという東証1部上場企業を一代で築き上げた名経営者ですが,何よりも大事にされてきたことは,40年以上継続された「掃除」でした。

今や,鍵山さんの「掃除道」は,著書,経営者向け私塾,NPO法人活動等様々な形で世に広まっており,中小企業の経営者を中心に,本当に多くの方々が鍵山さんの掃除道を学び,実践して成果を上げられています。

先日,そんな素晴らしい御方とお会いして,直接お話を伺える機会を頂くことができました。

この機会は,私の名刺を印刷してくださっている丸吉日新堂印刷株式会社の阿部晋也社長をはじめとする素晴らしいパートナーの皆様のおかげで叶った機会でした。
この場を借りて,皆様に改めて御礼を申し上げます。

(※なお,日新堂印刷さんでは,リサイクルペーパーを材料とする「エコ名刺」を用いたセルフブランディングをプロデュースしてくださいます。同社の名刺を用いるようになってから受けた恩恵は計り知れません。セルフブランディングを強化されたい方,もっと個性的な名刺を使いたい方,名刺交換の際に会話のネタに困る等のお悩みをお持ちの方は,ぜひ一度同社のHP(http://eco-meishi.info/)を覗いてみてくださいね!)

さて,鍵山さんから学んだことのすべてを書き出すと果てしない長文になってしまうので,本投稿では,ぜひ皆様にお伝えしたい情報を2つだけ取り上げたいと思います。

1つは,鍵山さんの考える『掃除の意義と効用』です。

鍵山さんは,掃除の意義と効用として以下の2つを挙げてくださいました。

① 氣づきの訓練
② (組織・チームにおける)価値観の共有

製造系や飲食のお仕事に従事されている方はもちろんだと思いますが,そうでなくとも,オフィスにおける自分のデスクや,自宅・自室の整理,整頓,清掃をしていて,例えば

「こんな無駄があったのか」とか,

「不用品を整理したらこんなにも生産性が上がるのか」とか,

「きれいにするとこんなにも清々しいのか」

といった気づきを得た経験は誰しもあるところかと思います。

もちろん,鍵山さんのおっしゃる「氣づき」とはそれだけにとどまるものではありません。

人として,他者に対する様々な気配りや配慮が自然とできるようになる。そのような真心のこもった気配りや配慮を受けた人は,自然とこちらに対して親愛的な感情を持ってくださって,とても良い関係性が作られていく。

実に深い意味の「氣づき」なのです。

また,このような「氣づき」と,それを行動に移すということに対する価値観を組織で共有できた時,そこに生まれるシナジーは計り知れないものとなります。


2つ目は,『何ら利益のないこと(見返りのないこと)をやり続けること』の重要性です。

鍵山さんは,困難に直面した時の対処法に関するお話の中で上記の考え方をご紹介してくださいましたが,私は,これこそが人格を磨くために最もシンプルでかつ効果的な方法だと感じました。


上記の2つの情報は,互いに関連しています。

例えば,飲食店で,自分が飲食した後の食器類をきちんと整理し,テーブルもできる限り拭いたりして,お店の方が後片付けをしやすいようにしておくという例で考えてみましょう。

この行動は,まず,『自分たちが食器類やテーブルをできるだけきれいにしておけば,お店の方が後片付けをしやすくなり,良い気分になる』という「氣づき」が前提になっています。

さらに,その「氣づき」を,『食器類をまとめて,テーブルを拭く』という具体的行動に移していくわけですが,この行動は,自分にとって利益や見返りのある行動ではありません。

(ちなみに,このような場面で,お店の方から感謝の気持ちを示されなかったら憤るという方がたまにいますが,それは『お店の方からの感謝』という見返りを求めての行動になってしまっていますので,「氣づき」の実践ではないというのが私の解釈です。)

しかし,このような「氣づき」とそれに合わせた具体的行動を続けていけば,たくさんの人たちに貢献し続け,幸せな気持ちを芽生えさせることができます。それによって,結果として,たくさんの人が自分の事業を応援してくれたり,良いパートナーシップを持ってくれたりするようになって,成功へと近づいていくことでしょう。

これは,孔子が説く「仁」と「礼」の概念とも軌を一にすると考えられます。

シンプルに言うと,「仁」はあらゆる他者に対する「思いやり」を表す言葉で,「礼」は「仁」の実践,すなわち,思いやりを具体的に行動に移すことと解釈されています。

日本中,ひいては世界中の人々がこのような考え方と実践力を身に着けていければ,世界から争いごとは消滅します。


私もまだまだまだ未熟の極みですが,鍵山さんから頂いた素晴らしい考え方を自らの指針として,人格を磨き続けていきたいと思います。