阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 10.03

「伝える」ことと「伝わる」ことは似ているようで全然違う

皆さんは,誰かに何かを伝えようとして,うまく伝わらなかったという経験はあるでしょうか。

私は数えきれないほどたくさんあります。

私たちは常日頃,自分の考えや思いを「伝えたい」と思って人とコミュニケーションをとっていますが,いくら「伝え」ても,「伝わら」ないことは実に多いですよね。

そんな時,ついつい

「なんでこっちはこんなに一生懸命伝えているのに,理解できないんだ!?頭悪いんじゃないか!?」

なーんて考えてしまったりしていませんか?

その瞬間,あなたは自分自身が相手に伝えたいと思っていることを,相手に伝わるようにできる限りの手を尽くすという主体性を放棄し,言い訳の谷という他責の世界(=自己成長を捨てた世界)に足を踏み入れることになります。

相手に伝わっていないのであれば,それは,伝える側が「伝わる」ように工夫していないからであると考えるべきです。

言葉の選び方だったり,

伝える手段(面と向かって口頭でなのか,電話なのか,メールなのか,手紙なのか)だったり,

話し方や言い方だったり,

表情や視線やジェスチャーだったり,

話すタイミングだったり,

服装や髪形だったり,

1人なのか複数なのかだったり,

相手がこちらの話を聞いてくれやすい環境を整えることだったり,

人に何かを伝えるときに,工夫することができる対象は実に様々にあります。

そして,伝える相手や内容によって,効果的に相手に伝わる伝え方も実に様々といえます。

それにも関わらず,そのことを踏まえないで,単に自分が伝えやすい方法や,自分にとって都合の良い方法というだけの理由で伝える手段を選択する人が,世の中には実に多くいらっしゃいます。

それで,結果としてうまく伝わらなかったときに,すぐさま他の手段を試してリカバリーしようとする人なら良いのですが,そこで伝わらなかったことを相手の責任にしてしまう方が多いのが実情です。


誰かに何かを伝えたいのであれば,徹底的に「for you」の精神を貫かなければなりません。

つまり,どう伝えたら相手が理解しやすいか,イメージや納得がしやすいかということを徹底的に突き詰めて考えた上で,それを実践していくわけです。

誰だって,例えば小学生に自分たちの仕事のことを教えようと思ったら,小学生でもわかるような例え話や言い回しを用いて伝えようとしますよね。それと一緒です。


『なんでわざわざそこまでしなきゃなんないの?めんどくさいよ~!』

と思った方,それならそれで無理をする必要はありません。

その場合,単に,何かを伝えたい目的が未達に終わるという結果に至るだけですから。

「未達では困る。何としても伝わってほしい」という方だけ,工夫や努力を考えてみていただければよいと思います。


例えば,ご自身のご家族に直してほしいと思う行動や習慣について,さんざん注意しているのに一向に直らないという状況があったとしましょう。

そんな時は,これまでと違う伝え方を色々と試してみましょう。

今までは気になったその瞬間に言っていたのを,例えば食事時に話してみるとか,

今までは「なんでそんなことするの!?」と否定的な表現だったところを,「こういう風にしてくれた方が嬉しいな」と,肯定的表現に変えてみるとか,

話を切り出す時に,「いつも〇〇してくれてありがとう。」などと感謝の言葉から入るようにするとか,

その習慣や行動に対する本人の考えを全て聞いて,かつ,その話の内容を本人が「理解してもらった」と納得できるように説明した上で,自分の考えを述べるとか,

本人が現在持っている目的や目標の達成との関係で,その習慣や行動がどのような影響を持つかについて,自分自身でどう思うかについてコーチング的に関わるとか,

今までやったことがないけれど,試してみる価値のある工夫はたくさんあるはずです。


ただ一方的に「伝える」で完結するのではなく,『伝わるように伝える』ということにぜひこだわってみてくださいね(^^)