阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 09.27

5つの欲求の違いをマネジメントに活かす

選択理論では,人は5種類の欲求を満たすために行動していると考えられています。

今日は,その5つの欲求に対する理解をうまく活用して,上司の部下育成,あるいは部下の上司との関係構築等,様々な人間関係を良好なものにする方法について考えてみたいと思います。

5つの欲求については以前の投稿でもお伝えしていますが,おさらいしておきましょう。

① 生存の欲求 ⇒ 寝食,健康などに関する欲求

② 愛・所属の欲求 ⇒ 愛し愛されたい,あるいは,他者と良い関係を築きたい,仲間との居場所がほしいという欲求

③ 力の欲求 ⇒ 成果を上げたい,達成したい,人に認められたい等の欲求

④ 自由の欲求 ⇒ 経済的な不自由から解放されたい,誰にも行動を制限されず好きなように生きたいという欲求

⑤ 楽しみの欲求 ⇒ (知的)好奇心を満たしたい,趣味や旅行等を通じて楽しい時間を過ごしたいという欲求

これらの欲求は,その求める度合いについて人それぞれに遺伝子レベルで違いがあり,全く同じ人はこの世に2人と存在しません。

そのため,自分が接する人たちが,それぞれどの欲求が強いかによって,動いてもらいたい時の効果的なアプローチ方法は変わってきます。

例えば,生存の欲求が強く,食べることが大好きという人がいたとします。
この人とは,美味しいものを一緒に食べに行くことで,良い関係が構築できそうですよね。

愛・所属の欲求が強い人であれば,その人自身のみならず,その家族をも大切にする行動(例えば子供の誕生日にプレゼントを贈る,親の誕生日にお花を贈る等)をとれば,あなたの愛(その人を大切に思う気持ち)が伝わって,やはり良好な関係構築が進むでしょう。

力の欲求が強い人であれば,その人の目標達成に対する支援をしたいという気持ちを伝え,実際にその人の目標達成に役立つ情報の提供や,その他のフォローをすることが効果的でしょう。

自由の欲求が強い人であれば,あまりルールや制約によって厳格に行動管理をするのではなく,ある程度自由な裁量を与えて伸び伸びと仕事をさせた方が,成果がでる可能性が高いでしょう。

楽しみの欲求が強い人であれば,仕事そのものの面白さ,(知的)好奇心を満たす要素,ある種のゲーム感覚で仕事を楽しめる方法などを伝えることで,良好な人間関係を築くきっかけになるでしょう。

大事なことは,いずれも,「特定の相手と良好な人間関係を築く」(人間関係をマネジメントする)という目的を達成するために,相手が特に強く求める要素を見極めて,その欲求充足を支援することをきっかけに,相手の上質世界の入口をノックすることにあります。

上質世界=5つの欲求が満たされていて,その人が幸せと感じる人,物,環境,価値観などがイメージ写真として貼られている記憶の世界のこと。人それぞれの幸せの具体的イメージ。

どうして上質世界の入口をノックする必要があるのでしょうか?

それは,「何を言うかよりも,誰が言うかが重要である。」という言葉に凝縮されています。

人は,どんなに合理的で,その人の抱えている問題の解決や,その人が求めている目的・目標の達成に効果的な行動に関する助言などを受けたとしても,それが自分の嫌いな人や,尊敬していない人からの言葉であった場合,その助言を取り入れようという気はなかなかおきません。

だから,例えば上司が部下に効果的に動いてもらいたいと思った場合,言葉を弄することでその目的を達成しようとするよりも,部下の上質世界に自分が入るように信頼関係を築き,部下の方から自然と「この上司のために貢献したい」,「上司の役に立てるように成長したい」と思ってもらえるようにしていくことが効果的です。

逆に,部下が上司に態度を改めてほしいと思った場合には,上司の上質世界に自分が入るように,上司の求める欲求の充足を支援し,信頼関係を構築することで,話を聞いてもらいやすい状況を作ることができるでしょう。

また,信頼関係を構築する上で非常に重要なことは,礼儀と感謝を尽くすことです。

挨拶や言葉遣いなどの礼儀は,これによって相手の心に快適な空気を送る働きをします。

また,些細なことにも常に感謝し,それを態度に表すことも,同様に相手の心に空気を送り込む働きがあります。

さらに,礼儀と感謝を尽くすことは,相手の心に空気を送るだけでなく,自分の心の豊かさも広げてくれます。むしろ,そちらの方が重要といっても過言ではないくらいです。

『上質なマネジメントの肝は,良好な人間関係の構築にあり』

ぜひ,実践してみてくださいね!