阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 09.26

さて,今回でシリーズのラストになります。

シリーズの①では,刺激と反応の間にスペースを入れるという主体性の考え方を,②では,他者の自発的な行動変容を促すにあたって念頭に置くべき3つの大前提をご紹介しました。

今回の③では,いよいよ,どのようにして,反応的な人に主体的になってもらうか,ということを考えていきたいと思います。

反応的な人に主体的になってもらうためには,どんなことが必要でしょうか。

これはもう,ほぼ一択しかないと私は考えています。

すなわち,“あなた自身が徹底的に主体的になる”ということです。

どんなに相手が反応的態度をとってこちらが苛立ちを覚えるような行動をとったり,腹の立つような言動をしてきても,常に刺激と反応の間にスペースを入れ続け,自分自身の目的・目標の達成に向けて効果的な行動をとり続けましょう。

「7つの習慣」の中で,このような主体的な人物の具体例として,こんなエピソードが紹介されています。

ある会社で,社長と,それを補佐する何人かの幹部がいました。

社長はかなりワンマンで強引なタイプで,幹部の多くは,そのような社長のやり方に辟易しており,社長がいない時には,段々と社長の悪口を言うようになっていました。

ところが,幹部の1人であるAさんだけは違いました。

Aさんは,他のみんなのように,ただ社長のやり方に不満を持ち,社長の悪口を言っていても,現状は何も好転しないことに気づきました。

そこで,Aさんは,社長を支える立場の人間として,社長の願望や,社長の考え方を徹底的に理解することに努め,常に,社長の長所を尊重し,主体的に社長のサポートに取り組みました。

当然,社長のAさんに対する印象はどんどん良いものになっていき,社長はAさんに対して大きな信頼を寄せるようになりました。

今までは重大な経営判断もほとんど単独で決断し,他の幹部の意見にあまり聞く耳をもとうとしていなかった社長でしたが,Aさんに対しては,「君はどう思うだろうか?」と社長から聞くようになったほどでした。

こうして,Aさんは,社内において確固たる地位を確立し,社長に対して大きな影響力を有するに至りました。

エピソードの紹介はここまでですが,このようなAさんに対して,社長の反応的な対応が減っていったであろうことは想像に難くありません。


職場に独善的で理不尽な上司がいる方は,本当にご苦労されていることと思います。

もちろん,②で述べたように,費用対効果を考えて,勤務先というそのような環境そのものを変えるのも1つの手でしょう。

しかし,上記のAさんのように,自ら部下としてできる最善を尽くし,上司に対して主体的に接し続けるという行動を試してからでも遅くはないと思います。

仮に,結果としてその職場を辞めることになったとしても,そのように厄介な上司に対しても主体的に接し続けるという経験は,必ずあなたの人格的成長を促進します。


他者の変化を促すためには,あなたの言動に影響力を持たせる必要があります。

そして,影響力は,相手との信頼関係が厚くなればなるほど増大していきます。

最終的に,あなた自身が他者にとって主体的人格のお手本となることができれば,自然と周りの人は,立場に関わらず,あなたの言葉に耳を傾けるようになっていきます。

そうしたら,「刺激と反応の間にスペースを入れる」という考え方をぜひ伝えてあげてください。

こうして,主体的な人たちの集団が出来上がれば,自然に,理想的なチームができていきます。

ぜひ,『周りの人に関わらず,とにかく徹底的に自分自身が主体的に生きる』ということを実践してみてくださいね!