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20169.3

部下はあなたの分身ではない(かつ,分身であってはいけない)

世の中の大半の上司は,部下を育成するにあたって自分の分身を作ろうとする傾向にあります。

どういう意味かわかりますか?

要は,自分と同じような考えをもって,同じような経験をして,同じようなスキルを会得し,同じような成果を上げる人間を育てようとするということです。

もちろん,ある程度成功している上司であれば,その成功に至ったノウハウを部下に伝えようとすることは悪いことではありません。

むしろ,部下が直面している壁を突破していくためには,上司の経験やノウハウに基づく助言が大きな影響を持つこともあるでしょう。

ですが,だからといって,まるっきり自分のコピーのような存在に育てようとするのは誤りです。

こう言うと,

『そんなつもりで部下を育てたりはしていないけどなぁ・・・。』

と思われる方がほとんどでしょう。

でも実際のところはどうでしょうか。

自分のやり方,自分の発想,自分の知恵等,これまでの仕事の中で自らが培ってきたもの(かつ自信を持っているもの)を,できる限り身につけてもらいたいと思って指導をしていませんか?

これは,悪気がないだけになかなか厄介な習慣だったりします。

このような考え方については,

『部下が自分のような経験を経て,自分のようなスキルを身につけてくれればすごく助かるではないか。何が問題なのだ。』

というご意見の方もいる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが,考えてもみてください。

部下は,あなたとは全く別の人格を持ち,あなたとは全く異なる生き方をしてきた人間です。

人生において求めている幸せの内容(=上質世界)も異なりますし,趣味嗜好だって全然違うわけです。

そのような部下が,都合よくあなたの分身のような存在になってくれると思いますか?

仮にそういう存在に近づいていっているとしたら,それは部下が自分自身の個性を埋没させて,無理にあなたの分身になろうとしている可能性が高いです。

これはとっても危険な兆候です。

なぜなら,どこかでその無理により生じたひずみに耐えきれなくなって,あなたの分身に近づくという大変な道程を進むことのできるような潜在的エネルギーを持っている貴重な部下がつぶれてしまうからです。

それにね,本来,あなたにとって本当に貴重な部下というのは,あなたが持っていない考え方,能力,知恵を持っている人のはずです。

だって,あなたとあなたの分身だけでは,1+1は2になっても,10になったり100になったり1000になったりはしません。

全く同じ性能を持つ機械が2台あったところで,生産性は最大でも2倍にしかなりませんよね。

でも,あなたにない考え方,能力,知恵を持っている人が入れば,2人の力が合わさることでシナジー(相乗効果)が生まれ,1+1が10になり,100になり,1000にもなっていく可能性があるわけです。

ものの本やネット上の記事などでは,部下育成について,よく「短所を無理に克服させようとするのではなく,長所を徹底的に伸ばしてあげましょう。」などと書かれているのを見たことがある方もいらっしゃるかと思います。

これは,1人1人の部下が持つ価値や可能性を最大限伸ばすことで,チームにおけるシナジーが生まれる可能性や,シナジーが増幅される可能性が高まっていくという原則を前提として提唱されているノウハウなのです。

部下育成にあたっては,ぜひ,自分の分身ではなく,自分にはない能力や考え方を活かして活躍できるような存在になってもらうことを目標にしてみてください!!