阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属 阿部竜司法律事務所 札幌弁護士会所属

2016 06.16

行動変容の促し方を考える(目的をどこに置くかが重要)

昨日のブログをご覧になった方の中には,

『理屈はわからんでもないが,日々の業務を効率的に回すためには,いちいち従業員の上質世界がどうとかそんなことは考えている暇がない。だから,命令して強引にでも動かすしかないだろう。』

というようなお考えをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

実際,経営においては迅速な判断が要求される場面が多々あります。そのような場面で従業員に動いてもらうにあたって,いつもいつも「〇〇さんの上質世界は・・・」などと考えたり,リサーチしている時間はないでしょう。

そういう観点で見れば,業務命令として従業員を強引に動かすことは,確かに,短期的には「効率」はよいでしょう。時間や労力は大してかからないからです。

ですが,経営者がその事業を通じて達成したい目的・目標や,描いているビジョンに近づくために「効果的」な方法といえるでしょうか?

経営者の理念やビジョン,当該業務命令の意味,当該従業員に求められている役割,その役割を果たすことを通じて当該従業員の5つの欲求がどう満たされるのか,といったことを明確にしないままに,一方的な業務命令で強引に動けと命ぜられた従業員は,与えられた仕事に対して120%のパフォーマンスを発揮してくれるでしょうか。

また,そのような状態が長く続いた場合,従業員は,会社を愛し,会社のために率先して役に立とうという気持ちになってくれるでしょうか。

逆でしょう。

上質世界に多少なりとも入っていない仕事や役割は長続きしません。遅かれ早かれ破綻します。

数年で終わるような短期的な事業をやるということであれば,それでもなんとかなるかもしれません。

ですが,永続的な事業の構築を目的としているのであれば,従業員がついてきてくれなければ不可能ですよね。

では,冒頭のような,迅速な経営判断・業務の効率化といった要素とのジレンマをどう解消したらよいのでしょうか。

それは,日常的なコミュニケーションを通じて,従業員の上質世界を知り,そして,会社や経営者,あるいは自分の役割,仕事の内容等を上質世界に入れてもらうように努めることです。

日常的なコミュニケーションを通じて信頼関係ができており,会社や経営者のことが上質世界に入っていれば,突発的な業務命令が下りたとしても,従業員は能動的に動いてくれます。

経営者として,日々従業員の上質世界の探求や,従業員の5つの欲求の充足を考えることは,結果として組織の強化につながります。そして,自然と,社長が何もしなくても会社全体が効果的に動くという状態が形成されていきます。

経営者やマネージャーポジションの皆さんは,ぜひ,日常的なコミュニケーションの中で,従業員の方々(部下の方々)の上質世界を知ることを意識してみてくださいね!

※明日以降のブログにて,具体的にどのような行動をとっていけば,従業員の方々の上質世界に入っていけるかをお話ししていきますので,よろしければ明日以降もブログをチェックしてみてください(^^)