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20186.14

目的・目標がない部下との関わり方②

前回の投稿にて,7つの習慣を実践すべく,自分の部下に対して人生の目的・目標を尋ねたものの,芳しくない反応が返ってくるようなケースで,部下とどう関わっていったらよいのか,という問題についてお話をしました。

前回の投稿はこちら

今回はその続きです。

前回は,「人の欲求には段階(順番)がある」という原則が重要であるというお話とともに,「マズローの欲求5段階説」についてお話をしました。

「マズローの欲求5段階説」は,人の欲求には順番があり,低い段階の欲求が満たされていないと,より高い段階の欲求が満たされることはない(満たそうという意識が働かない)という理論です。

具体的には,

第1段階=生理的欲求(食欲,睡眠欲,排せつ等)

第2段階=安全の欲求(衣服,住居,涼しい・暖かいなどの快適さを求める等)

第3段階=社会的欲求(良好な人間関係や,家庭・組織などにおいて居場所を求める等)

第4段階=承認(尊厳)欲求(他者や社会から必要とされたい)

第5段階=自己実現の欲求(自らが目指す理想の自分で在りたい,人生を通じて自らのやりたいことを貫きたい等)



※https://www.motivation-up.com/motivation/maslow.htmlから引用

※上記の図は,下から上に向かって第1~第5段階となっています

さて,それでは,このような欲求5段階説は目的・目標のない部下との関わり方とどう関係してくるのでしょうか?

人生において明確な目的・目標を持つというのは,欲求5段階説でいうと,第5段階にもっともなじむといえます。

まず,第1段階,つまり,「食べたい」,「飲みたい」,「寝たい」というような人間の基本的な生理欲求が満たされていない人が,「自らはどう生きるべきか。何を目指すべきか」と考えようとしても無理ですよね。

そんなことよりもまず,真っ先に目先の食欲や睡眠欲を満たすことを優先するはずです。

第2段階も同じですね。

安心して生活できる住居や,衣服などの基本的な生活必需品が備わっていない状況で,「自らはどう生きるべきか。何を目指すべきか。」と考えようとしても,なかなか考えは進まないでしょう。

(※もちろん,歴史上の偉人の中には,そのような過酷な環境がかえって自らの人生を強く考えるきっかけとなり,人生の目的・目標が定まったという人もいますが,それはごくごく例外と考えるべきでしょう。)

第3段階はどうでしょうか?

自らの人生や,現状の生活において重要な位置を占める人間関係(※主に家庭,職場)において大きな問題(ストレス)を抱えている人が,「自らはどう生きるべきか。何を目指すべきか。」とじっくり考えて,前向きに長期的なビジョンを持つことは簡単なことでしょうか?

確かに,第1段階や第2段階に比べると,ひとまず生活はできている状況ですから,一見すると,生死に関わるようなレベルの問題ではないとも思えます。

しかしながら,日本人の自殺の三大原因は,健康,経済,そして人間関係です。

また,近年においては,職場を早期退職する理由の中で,「職場の人間関係の問題」が,給与等の待遇よりも上位に入っています。

そのくらい,人間関係というのは人の人生において重要な問題なのですね。

そう考えると,やはり第3段階にいる人も,なかなか,じっくりと自らの目的・目標を考え,明確にするというのは容易ではないでしょう。

第4段階までくると,状況はだいぶ変わってきます。

他者や社会から認められたい,組織において重要な存在でありたいという欲求は,『そのために自分はどうすればいいのか?』という自問自答に結びつきやすく,必然的に自分の目的・目標を考える習慣が形成されやすいからです。

とはいえ,他者や社会から認められたい,組織において重要な存在でありたいという欲求は,他者の評価を前提としているところがあるため,真の意味で,(他者や社会は関係なく)『自分自身はどのような人間でいたいのか,どう在りたいのか」という視点から目的・目標を設定することができない場合も珍しくはありません。

このように,結局のところ,第5段階まで至ってこない限り,ほとんどの人は,自らの人生における長期的な目的・目標を明確にするというのは相当難しいということになるわけです。

そして,会社の一般社員等,ほとんどの組織における構成員は,第5段階に至っている方はごく少数です。

おそらく,数%というレベルでしょう。

大半の人は,第3段階もしくは第4段階にとどまっています。

ちなみに,人生に何を求めるかという問いに対して,「とにかくお金が欲しい」という人は少なからずいますね。

こういうタイプの人はどこにとどまっていると思いますか?

それは,『その人がどうしてお金を欲しているのか。お金を何に使いたいと思っているのか。』という問いに対する答えを聞けば,自ずと明らかになります。

これに加えて,「そのようにお金を使ったとして,あなたにどんな効果が生じるのか?」という問いを重ねれば,さらに見えてくるでしょう。

例えば,寒暖をしのいだり,仕事や他者との交流にあたって不十分ではない範囲の衣服は持っているけれど,さらにブランド品や,その他多くの服飾品等を求める方がいらっしゃったとします。

そのような方は,(一部の例外を除いて)多くの場合,第3段階か第4段階の欲求(あるいはその両方)で動いています。

単純にいえば,「周りの人からもっと好かれたい」(第3段階)とか,「すごいと思われたい」(第4段階)という欲求です。

ということは,その方たちは,現状の生活において第3段階や第4段階の欲求が満たされていないので,それを満たすための手段を講じる原資としてお金を求めているわけです。

さて,改めて本題に戻ります。

目的・目標がない部下とどう関わっていくか,というテーマでしたね。

これまで見てきた『人の欲求には段階がある』という理論から,おおむね以下のような原則を導き出すことができます。

すなわち,「世の中の多くの人は,人間関係に関する欲求か,もしくは承認(尊厳)欲求が満たされておらず,人生の中長期的な目的・目標を設定することが容易ではない状態にある」という原則です。

では,このような原則を踏まえて,上司はどう部下と関わったらよいでしょうか。

・・・というところでかなりの分量にさしかかってしまいましたので,さらに次回に続きます!