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20185.23

目的・目標がない部下との関わり方

『部下の人生ビジョンや目的を理解してWin-Winを目指そうというのは理想論としては理解できるんだけど,うちの部下は人生ビジョンとか目的を聞いても「ありません」とか,「考えたことないです」とか言うんですよね。せっかくこっちがWin-Winを目指そうと思っても,これじゃどうしようもないですよね・・・』

「7つの習慣」のお話をしていると,経営者やマネージャー層の方からよくこんなお悩みを聞くことがあります。

第2の習慣(=「終わりを思い描くことから始める」)を部下にも身に着けてもらって,そこから部下との間で第4の習慣(=「Win-Winを考える」)を実践して,良質な組織を創っていこうという実践行動に進もうとした際に,上司がぶつかることの多い問題だと思います。

実際,

「今まで部下の人生の目的とかビジョンなんて聞いたこともなかったな。よし,こちらから寄り添って部下のビジョンを聴いて,もっと信頼関係を深めよう!」

と決意して,せっかく勇気を出して今までやってこなかった関わり方を実践してみたのに,部下から,

「ビジョンて何ですか?考えたことないです。」

とか,

「人生の目的とか目標とか,特にないんですよね。楽しく生きれればいいなとは思いますけど・・・」

というような反応が返ってきたら,上司としてはなかなかにきついものがありますよね(^_^;)

では,どうしたらよいのでしょうか。

このような場合に強く念頭に置いておくべき重要な原則があります。

それは,「人の欲求には段階(順番)がある」という原則です。

この原則は,アメリカの心理学者アブラハム・マズローが唱えた「マズローの欲求5段階説」によって端的に示されています。

マズローは,人の行動の動機(理由)となる欲求には,5つの段階があると説きます。



※https://www.motivation-up.com/motivation/maslow.htmlから引用

これは,簡単に言うと,人の欲求には順番があり,低い段階の欲求が満たされていないと,より高い段階の欲求が満たされることはない(満たそうという意識が働かない)という理論です。

具体的に見ていきましょう。

第1段階は「生理的欲求」です。

これは,食べたい,寝たい,トイレに行きたいなど,生物としての本能的・生理的欲求を指しています。

確かに,食べたり,飲んだり,寝たりといった欲求が満たされていない状態は,下手をすれば命の危険があり,何よりもまず先にこれを満たしたいという感覚になりますよね。

第2段階は「安全の欲求」です。

きちんと屋根や壁があって,暖かい(もしくは涼しい)環境で清潔に生活したい,というような,安心・安全な生活を求める欲求を指しています。

確かに,一部の例外的な場合を除いて,帰る家もなく,お風呂にもまともに入れないというような状態が気にならないという人はほとんどいませんね。

これも優先順位が高い欲求であることは多くの人にとって違和感がないところでしょう。

第3段階は「社会的欲求」です。

これは一言でいうと,良好な人間関係を求める欲求ということができます。
愛する人や,自分が信頼する仲間と共に生きていきたいという欲求ですね。

日本の労働者が勤務先を離職する理由のトップが,この欲求の不充足です。
つまり,人間関係に悩んで,居心地が悪くストレスフルな生活になってしまうので,離職するということですね。

この欲求が「第3段階」にあるということを,ぜひ皆さんに強調しておきたいと思います。

食べたい・飲みたいといった欲求,安心・安全に暮らしたいというの次にこの「良好な人間関係を求める欲求」というのがくるのです。

人間にとって,(特に日常的に接触する機会の多い他者との間で)良好な人間関係を築くということは,それくらい重要な位置を占めるのです。

第4段階は「承認欲求(尊厳欲求)」です。

他者から認められたい,尊敬されたいといった欲求です。

人間は,自分が他者や社会にとって重要な存在であるという実感が得られると幸福を感じるようにできています。

会社組織でいえば,自分が担当する仕事によって,顧客や同僚に喜んでもらいたい,感謝してもらいたいというような欲求ですね。

確かに,いくら人間関係が良好でも,自分の仕事について誰からも何ら肯定的な評価や感謝をもらえなかったら,続けるのはしんどいですよね。

第5段階(最終段階)は「自己実現の欲求」です。

第1~第4段階が全て満たされている状態なので,あとは,自らが目指す理想の自分で在り続けたいという欲求の充足を残すのみとなります。

自分の人生において,例えば,「多くの人の幸せに貢献したい」,「配偶者や家族を幸せにしたい」というような,他者への「貢献」が明確にビジョンとして定まっている人は,この状態に至っている人が多いです。

なぜなら,第4段階までの欲求の中で大きく不足しているものがある場合,そこに関する悩みや問題(例えば身近な人との人間関係の悪化など)を抱えているので,他者への貢献という方向に目を向ける余裕がないことがほとんどだからです。

ちなみに,マズローいわく,第1~第4段階までは,欲求に上限があり,その上限に達すると「十分に満たされている」と感じるのですが,第5段階だけは,上限がないとされています。

確かに,完全完璧な理想の自分の実現というのは(良い意味で)およそ不可能なので,理想の自分の実現を追い求める道には終わりがありませんね。

孔子も,ことあるごとに,弟子たちに「一生学び続けることの大切さ」を説いていますが,同じことだと思います。

さて,前置きがとっても長くなってしまいましたが,本題に戻ります。

部下が人生のビジョンや目的を持っていなかったり,あいまいであるといった状態であった場合に,上司としてどう関わるかという話でしたね。

実は,マズローの欲求5段階説を前提とすれば自ずから効果的な対応は見えてくるのですが,大分長くなってしまいましたので,続きは次回の投稿にてお伝えいたします。

余裕があったらで結構ですので,ぜひ,ご自身でも考えてみてくださいね!